軽自動車の維持費が安い理由
軽自動車の維持費が普通車と比べて安い理由は主に2つあります。
1つ目は税金が安いことです。軽自動車は排気量が660cc以下と規定されているため、自動車税(軽自動車税)が普通車より大幅に安くなっています。例えば、新車登録から13年未満の軽自動車の年間税額は10,800円ですが、同じ条件の1,000cc~1,500ccの普通車では30,500円と、約3倍の差があります。
2つ目は燃費の良さです。軽量で小型エンジンを搭載している軽自動車は、燃費性能が優れており、ガソリン代を節約できます。例えば、軽自動車の平均燃費が15km/Lで普通車が12km/Lとした場合、年間走行距離10,000kmでは約21,700円もの差が出ます。
軽自動車と普通車の年間維持費の内訳を比較
軽自動車と普通車の年間維持費を項目ごとに比較します。
1:自動車税
軽自動車 | 普通車 | |
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自動車税 | 年間10,800円(2015年4月1日以降に新車登録された車両の場合) | 年間30,500円(2019年10月1日以降に新車登録された車両で1,000cc~1,500ccクラスの場合) ※排気量によって異なる |
軽自動車の自動車税(軽自動車税)は、2015年4月1日以降に新車登録された車両の場合、年間10,800円(※1)です。一方、普通車の自動車税は排気量によって異なりますが、1,000cc~1,500ccクラスの場合、2019年10月1日以降に新車登録された車両で年間30,500円(※2)となります。
この差額は19,700円にもなり、10年間所有すると約20万円もの差が生じることになります。さらに、13年を経過した軽自動車は12,900円に増税されますが、それでも普通車と比べると大幅に安い税額となっています。
また、軽自動車は重量税も普通車より安く設定されており、車検時の負担も軽減されます。例えば、新車登録から13年未満の軽自動車の重量税は6,600円ですが、1.5t以下の普通車では24,600円と、約4倍の差があります。
(※1)参考:総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」
(※2)参考:総務省「2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります」
2:ガソリン代
軽自動車 | 普通車 | |
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ガソリン代 | 年間約80,000円~90,000円程度 | 年間約100,000円~140,000円程度 |
軽自動車は年間約80,000円~90,000円、普通車では年間約100,000円~140,000円程度のガソリン代がかかります。燃費の良さから、軽自動車は普通車と比べて年間2~5万円程度のガソリン代を節約できます。
例えば、軽自動車の燃費を15km/L、普通車を12km/Lとして、年間走行距離10,000km、ガソリン単価をレギュラー170円/Lと仮定すると、年間のガソリン代は軽自動車が約11,3300円、普通車が約141,660円となり、その差は28,360円になります。
3:ローン支払い
軽自動車 | 普通車 | |
---|---|---|
年間のローン支払額 | 年間約300,000円(210万円の7年ローンで購入した場合) | 年間約500,0000円程度(350万円の普通車を7年ローンで購入した場合) |
車両価格が異なるため、年間の支払い額も変わります。軽自動車を210万円の7年ローンで購入した場合、年間約300,000円の支払いになります。一方、350万円の普通車を7年ローンで購入した場合、年間約500,000円の支払いになります。
差額は年間200,000円にもなり、7年間で140万円もの差が生じることになります。ただし、これはあくまで一例であり、実際のローン支払い額は車種や購入条件によって大きく異なります。
4:任意保険
軽自動車 | 普通車 | |
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任意保険料 | 年間約35,000円〜50,000円 | 年間約60,000円〜70,000円 |
車両価格や修理費の違いにより、任意保険料も変わります。軽自動車は年間約35,000円〜50,000円、普通車では年間約60,000円〜70,000円となります。
軽自動車が事故時の損害額が比較的小さいと見なされることや、車両保険の保険金額が低く設定できることなどが金額に差が出る理由です。また、軽自動車は車体が小さいため、駐車場での接触事故のリスクも低く評価される傾向にあります。
ただし、上記はあくまでも目安であり、実際の保険料は運転者の年齢や事故の有無、車種や車の使用目的などによっても変動するため、保険会社ごとに見積もりが必要です。
5:車検
軽自動車 | 普通車 | |
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車検費用 | 平均/約66,000円 | 平均/約88,000円 |
軽自動車は構造がシンプルで部品も安価なため、車検費用も抑えられます。修理内容によって金額は大きく変わりますが、平均的には軽自動車は約66,000円、1.5tまでの普通車は約88,000円程度です。
差額は約22,000円で、2年に1度の車検を考えると、年間では約11,000円の差となります。ただし、これは基本的な車検費用であり、車の状態や必要な整備内容によっては、費用が追加になる場合があります。
6:その他費用
オイル交換やタイヤ交換などのメンテナンス費用も、軽自動車の方が若干安くなる傾向があります。軽自動車は年間約30,000円、普通車は約40,000円ほどです。
軽自動車と普通車の1年間にかかる維持費例一覧
以下の表は、軽自動車と普通車の1年間にかかる維持費の例を示しています。
費目 | 軽自動車 | 普通車 |
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自動車税 | 10,800円 | 30,500円 |
ガソリン代 | 86,600円 | 108,300円 |
ローン支払い | 300,000円 | 500,000円 |
任意保険 | 35,000円 | 70,000円 |
車検(2年に1回の費用を年割) | 16,500円 | 22,000円 |
その他(メンテナンス等) | 30,000円 | 40,000円 |
合計 | 478,900円 | 770,800円 |
この例では、軽自動車の方が年間約29万7,400円も維持費を抑えられることがわかります。これは月々に換算すると約24,800円の差になります。
ただし、これはあくまで一例であり、実際の費用は使用状況や車種によって大きく異なります。例えば、年間走行距離が長い場合はガソリン代の差がさらに開くでしょうし、高級車を選んだ場合はローン支払いや保険料がさらに高くなる可能性があります。
また、この例では新車購入を想定していますが、中古車を選択した場合は、ローン支払いや税金などが変わってくるため、維持費も変動します。さらに、駐車場代も地域によって大きく異なるため、実際の維持費を計算する際は、自身の生活環境に合わせて細かく見積もることが重要です。
軽自動車と普通車、それぞれの維持費の節約方法
以下では、車の維持費を抑える方法を解説します。
1:自己メンテナンスで出費を抑える
定期的な点検や簡単なメンテナンスを自分で行うことで、整備費用を抑えられます。エアフィルターの清掃やオイル交換など、基本的な作業は自己メンテナンスで十分対応可能です。ただし、高度な作業や安全に関わる部分は専門家に任せましょう。
例えば、エアフィルターの清掃と交換、ワイパーブレードの交換、タイヤの空気圧チェックと調整、バッテリーの点検と清掃などの作業は、必要な工具や部品を購入し、インターネットの動画などを参考にしながら行うことができます。これらの作業を自分で行うことで、年間数万円の節約が可能です。
ただし、ブレーキやエンジンなどの重要な部分については、安全性を考慮して専門家に任せることをおすすめします。自己メンテナンスは費用節約になりますが、車の安全性を損なわないよう注意が必要です。
2:保険プランの最適化を図る
年齢や運転歴、車の使用頻度に応じて、適切な補償を選択することで費用を抑えられる可能性があります。例えば、こまめな補償内容の見直し、免責金額の設定、複数の保険会社の見積もりを比較する、などがあります。また、インターネット割引や複数契約割引など、各種割引を適用することも重要です。
ただし、必要な補償を削減することがないよう、車種や家族構成、車の使用頻度などに合った見直しが大切です。
3:エコドライブで燃料費を削減
エコドライブのテクニックには、アイドリングストップ、加減速の緩やかな運転、定速走行、タイヤの空気圧管理、不要な荷物を積まない、エアコンの使用を控えめにするなどがあります。これらのテクニックを実践することで、燃費を改善できる可能性が高まります。
例えば、年間のガソリン代が10万円の場合、10%の燃費改善で年間1万円の節約になります。さらに、エコドライブは車の寿命を延ばす効果もあるため、長期的には大きな維持費削減につながります。
4:車検時の賢い選択
ディーラーだけでなく、認証工場や指定工場など、複数の業者から見積もりを取ることで、車検費用を抑えられるでしょう。
具体的な方法としては、認証工場の利用、複数の見積もりを取る、セット割引の活用、早期予約割引の利用、自分でできる部分は自分で行うなどがあります。
5:駐車場コストの見直し
都市部では駐車場代が大きな金額になります。2024年度のデータによると、東京都港区の月極駐車場の相場は約5万円です。
例として、月額5万円の駐車場を月額3万円の駐車場に変更できれば、年間24万円の節約になります。
6:給油時の節約テクニック
ガソリンスタンドの価格を比較サイトなどで確認し、安い店舗で給油することで燃料費を抑えられます。また、ポイントカードや割引サービスを活用することも効果的です。
例えば、1リットルあたり5円安いガソリンスタンドで給油すると、満タン(40リットル)で200円の節約になります。月に2回給油する場合、年間4,800円の節約になります。さらに、クレジットカードのポイントや、ガソリンスタンドの会員サービスを利用することで、追加の割引やポイント還元を受けられる場合もあります。
7:税制優遇措置の活用
エコカー減税や軽自動車の税制優遇措置を活用することで、税金面での節約が可能です。
例えば、軽自動車の自動車税は年間10,800円(13年経過後は12,900円)ですが、1,000cc~1,500ccの普通車の場合は年間30,500円です。この差額は年間約2万円で、10年間所有すると20万円もの差になります。
また、電気自動車やハイブリッド車などのエコカーを選択することで、自動車税や自動車重量税の減免を受けられる場合があります。
8:ローン返済方法
可能であれば、頭金を多めに用意してローン金額を抑えたり、金利の低いローンプランを選択したりすることで、総支払額を抑えられます。また、繰り上げ返済を活用することも効果的です。
例えば、300万円の車を7年ローン(年利2.5%)で購入する場合、頭金なしだと総返済額は約328万円になりますが、100万円の頭金を用意すると総支払額は約249万円になり、約79万円の節約になります。
また、可能であれば、ボーナス払いを活用して返済期間を短縮したり、繰り上げ返済を行ったりすることで、利息の負担を軽減できます。ただし、繰り上げ返済には手数料がかかる場合もあるので、契約内容をよく確認しましょう。
9:代替交通手段
短距離の移動には自転車や公共交通機関を利用するなど、車の使用頻度を減らすことで、燃料費や駐車場代を節約できます。また、カーシェアリングサービスの利用も、維持費削減の選択肢の一つとなります。
例えば、週末のみ車を使用し、平日は公共交通機関を利用するようにすれば、年間の走行距離を大幅に減らすことができます。これにより、燃料費だけでなく、車検時の整備費用や部品の交換頻度も減らすことができます。
カーシェアリングサービスを利用する場合、自動車を所有している場合の月々の固定費(自動車税、車検費用、保険料など)がかからず、毎月の基本料金と使用に応じた料金を支払えばよいため、所有していた場合に比べて、年間の維持費を大幅に削減できる可能性があります。ただし、使用頻度や利用目的によっては、カーシェアリングの方が高くつく場合もあるので、自身の利用パターンに合わせて検討することが重要です。
まとめ
軽自動車は普通車と比べて維持費を大幅に抑えられることがわかりました。しかし、どちらを選択するにせよ、適切な維持管理と賢い節約方法を実践することで、さらに維持費を抑えることが可能です。
車の購入を検討している方や、現在の車の維持費に悩んでいる方は、ぜひこれらの情報を参考にしてください。
※この記事は2025年1月時点の情報です。
執筆者プロフィール
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