雪面の上のスタッドレスタイヤ

1. タイヤのチェック、していますか?

「雪が降るところに行く人だけが、スタッドレスに変えればいいのでしょ?」と思われるかもしれませんが、外気温が急激に下がると、タイヤの空気圧にも影響が出ることがあります。タイヤの空気圧が下がると、操縦が安定しづらくなったり、燃費が悪化する原因にも。寒くなってきたら、タイヤの空気圧をこまめにチェックすることをお忘れなく。
また、路面のコンディションが変化するこの季節は特にタイヤの溝のチェックも大切です。
擦り減ったタイヤはどんな季節でも大変危険ですが、特に冬には大問題。路面とタイヤが接地している部分はわずかハガキ1枚の面積と言われています。つまり四輪であればハガキ4枚分の面積でクルマの重量を支え、コントロールする重要な役割を担っています。
路面の凍結や、ちょっとしたみぞれ程度の雪の降りはじめであっても、革靴の人が滑りやすいのと同じように、溝のないタイヤの接地面がコントロールを失うのはクルマも同じこと。冬はスリップの危険が増えてきます。雪国でなくても、冬という季節にタイヤの健康は重要なポイントです。
空気圧やタイヤの溝は、ガソリンスタンドやカーディーラーなどでも確認してもらえます。

2. 保管していたスタッドレスタイヤは交換前に確認を

雪がよく降る地域にお住まいの方は、冬用タイヤへの履き替えは毎年当たり前に準備することでしょう。特に雪国ではカー用品店やタイヤショップで冬タイヤの広告が8月くらいから出されたりしますね。
「毎年のことだし、雪には慣れているから。」とはいえ油断はせず、保管していたスタッドレスタイヤが摩耗していないか、ゴムが硬化してひび割れなどが起きていないかなど、交換時には必ずチェックをしてください。スタッドレスタイヤも、溝がなくなっていたり、ひび割れなどの劣化があると、本来の機能を発揮できずスリップ・バースト(タイヤの破裂)しやすくなるため、非常に危険です。

通常、スタッドレスタイヤには50%摩耗の目安を知らせる「プラットフォーム」と呼ばれる突起があります。プラットフォームが見えてくると、スタッドレスタイヤとして機能しないというサインなので、交換が必要ということです。ただ、タイヤの状態を正しく判断することは素人にはなかなか難しいので、業者の方やプロに相談してみることがおすすめです。また、保管状態もコンディションに関係するため、「タイヤホテル」などと呼ばれるオフシーズン中最適な状態で預かってくれるサービスを提供しているところもあります。保管場所も気にしなくて良いので利用する方が増えているようです。併せて相談してみると良いでしょう。

冬空の下、車外のカップル

3. 雪が降ったら考えよう… では遅い?

普段は雪が降らない地域にお住まいの方でも、冬の帰省やレジャーで雪の降る地域を通る予定がある方や、雪が降る可能性がある地域で冬を迎えるという方は、早めにスタッドレスタイヤへの履き替えを準備しておきましょう。
毎年、特に雪国以外の地域では、雪が降る予報が出たり、雪が降ったとたんにスタッドレスタイヤへの履き替えをする人が集中します。そのため、タイヤ交換を行ってくれる業者が混み合い予約が取れない、購入したい冬タイヤが品薄で手に入らない、といった状況に陥ることも。早めの行動がおすすめです。

一方で、都市部に住んでいたり、暖冬の影響からスタッドレスタイヤはあまり出番がない、でも毎日通勤や送り迎えで運転は必要なので心配は心配… 。そのような場合には、オールシーズンタイヤという選択肢もあります。オールシーズンタイヤは全天候型のタイヤで急な降雪や濡れた路面にも対応できます。(ただし、スキー・スノボなど降雪量が多い地域へ行く場合にはスタッドレスタイヤやチェーンの準備が必要です。また、スタッドレスタイヤであっても、チェーン規制区間ではチェーン装着が必要です。)
「普段の生活ではスタッドレスタイヤは必要ないけど、万が一に備えておきたい」という方にはタイヤチェーンを準備しておくことをおすすめします。タイヤチェーンには金属製、ゴム製、布製などさまざまなタイプがありますが、「タイヤソックス」と呼ばれる布製のタイプはクルマをジャッキアップする必要がなく手軽で収納もコンパクトなため、万一の際のお助けアイテムとなります。
ただし、これらのアイテムも劣化していると肝心な時に切れてしまったり、役に立たないことも。また、急な雪の場合にはお店で売り切れとなることもあるので、シーズン前にはチェックしておきましょう。

いろいろな対策方法がありますが、目的やライフスタイルに合わせてお店の方に相談してみてください。
いずれにしても、「タイヤ交換をする前に雪が降って身動きが取れなくなってしまった。」「スリップして事故を起こしてしまった。」というようなことがないように、早めの対策がおすすめですが、タイヤだけでなく、冬の運転は特に注意が必要。準備が万全でないときに雪が降ったり、路面が凍結したりという場合には、潔く「運転しない」という選択も必要だということを心にとめておきましょう。

4. 新品スタッドレスタイヤは慣らし走行が必要

「今年はスノボ旅行にでかけるから、直前にスタッドレスタイヤに交換すればいいかな。」そんな風に考える方もいらっしゃるでしょう。レジャーの予定がなくとも、寒い早朝や日没後の移動がある方はスタッドレスタイヤにすると安心ですね。ただ、気を付けたいのは新品のスタッドレスタイヤの場合は、慣らし走行が必要だということ。新品を購入した場合、初めは本来の性能を発揮することができないのです。工場から出荷された新品のタイヤは表面が薬品等の膜で覆われている状態で、慣らし走行をすることである程度表面が削られて本来のグリップ力・効果が発揮されるのです。また、新しいタイヤでの走行感覚に慣れることも目的のひとつです。

慣らし走行の目安はタイヤメーカーによって異なりますが、だいたい時速60㎞以下で200㎞以上の走行です。難しい作業ではありませんが、あくまで「慣らし」を意識して、タイヤをいたわる気持ちで優しい走行をすることが大切、特に「急」がつくような運転は禁物です。
慣らし走行は雪が降る前に行うことがポイントです。慣らし走行が間に合わないと、いざ雪が降ったり凍結した時に、十分な性能が発揮されないことになってしまいます。また、慣らし走行が完了してもタイヤの空気圧が不足していると十分なグリップ力が発揮されません。タイヤの空気圧チェックを定期的に行うこともポイントです。せっかくスタッドレスタイヤに履き替えても性能が発揮されないのではもったいない!雪道を走る直前に交換するのではなく、慣らし走行の期間を考えて交換する計画をたてましょう。

まとめ

クルマの冬支度、前編ではタイヤに関するお話をお届けしました。スキーやスノボ、雪を楽しむレジャーに行かれる方もそうでない方も、冬の運転には計画と早めの準備を。後編では、クルマの冬支度で知っていると役にたつ豆知識 をお届けします。
楽しい時間を満喫するには、なによりも安全と安心があってこそ。安全安心でステキなカーライフを!