自動車保険における免責とは
自動車保険における「免責」とは、損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を負わないことを指し、免責となる特定の事項(事由)を「免責事項(免責事由)」といいます。また、免責となる金額の範囲を「自己負担額(免責金額)」といい、損害が発生した場合に保険契約者などが自己負担する金額として契約時に設定できます。「免責事項(免責事由)」と「自己負担額(免責金額)」は、いずれも「免責」と略して使われることがありますが、意味合いは異なりますので混同しないようにしましょう。
1.1.免責事項(免責事由)
損害が発生した場合、保険会社は契約に基づいて保険金を支払う責任(義務)を負いますが、約款に規定された特定の事項に該当する場合は、保険金を支払う責任を負いません。このことを「免責」といい、免責となる特定の事項を「免責事項(免責事由)」といいます。
免責事項が定められている主な目的は、契約者間の公平性を保ち、保険制度の健全性を維持することにあります。
故意に起こした事故や、飲酒運転・無免許運転などの法令違反による自身の損害まで補償してしまうと、ルールを守っている契約者との公平性が損なわれます。また、一度に広範囲かつ甚大な被害が想定される地震や戦争などによる損害をすべて補償することは、民間の保険会社では対応しきれない可能性があり、健全な保険制度を維持するための保険料の算定も難しいことなどから、免責とされています。
主な免責事項は、以下のような事項です(免責事項の内容は保険会社や商品による違いがあります)。
【共通】
- 地震、噴火、津波、戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などによって生じた損害
など
【相手への補償(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険 など)】
- 保険契約者、被保険者(補償の対象となる方)などの「故意」によって生じた損害
- 記名被保険者・運転者本人、またはその配偶者・親族などの生命・身体が害された場合に被保険者が被った損害
- 記名被保険者・運転者本人、またはその配偶者・親族の所有・使用または管理する財物が滅失、破損または汚損された場合に被保険者が被った損害
- 台風、洪水、高潮によって生じた損害
など
【ご自身の補償(人身傷害保険 など)】
- 被保険者の「故意」または「重大な過失」によって被保険者本人に生じた傷害
- 無免許運転、酒気を帯びた状態での運転または麻薬・危険ドラッグなどの影響を受けた状態での運転により、被保険者本人に生じた傷害
など
【車の補償(車両保険)】
- 保険契約者、被保険者、保険金を受け取るべき方などの「故意」または「重大な過失」によって生じた損害
- 無免許運転、酒気を帯びた状態での運転または麻薬・危険ドラッグなどの影響を受けた状態での運転により生じた損害
- 法令により禁止されている改造を行った部品に生じた損害
など
免責事項は約款や重要事項等説明書に「保険金をお支払いすることができない場合」などとして明記されています。なお、通常は保険金の支払い対象となる事項であっても、車両保険の限定条件(損保ジャパンの場合、「車対車事故・限定危険特約」)のように、特約により免責とする場合もあるため注意が必要です。実際の契約で適用される免責事項は、ご契約前に必ず確認するようにしましょう。
1.2.自己負担額(免責金額)
自己負担額(免責金額)とは、損害が発生した場合に保険契約者などが自己負担する金額として契約時に設定するものです。保険金の支払事由に該当したときは、損害額から自己負担額を差し引いた金額が支払われます。
自己負担額を設定する主な目的は、保険契約者の保険料負担を抑えることです。万一の際の「少額の損害額の一部」をご自身で負担する設定にすることで、その分だけ毎月の保険料が安くなる仕組みになっています。
免責事項(免責事由)と自己負担額(免責金額)の違いは以下の通りです。
| 免責事項 (免責事由) |
自己負担額 (免責金額) |
|
|---|---|---|
| 定義 | 損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を負わない特定の事項 | 損害が発生した場合に保険契約者が自己負担する金額 |
| 目的 | 契約者間の公平性を保ち、保険制度の健全性を維持すること | 保険契約者の保険料負担の軽減など |
| 設定 | 重要事項等説明書や約款に明記 | 契約時に金額を設定 |
車両保険の自己負担額(免責金額)の考え方
ここからは車両保険の自己負担額(免責金額)について解説します。車両保険を契約する場合は、自己負担額を設定することで保険料を抑えられますが、その金額によっては事故の際の負担が大きくなります。想定していた補償が受けられないといった事態を避けるためにも、きちんと理解しておきましょう。
自己負担額(免責金額)とは、損害が発生した場合に保険契約者などが自己負担する金額のことです。車が損害を受けて保険金を請求する場合は、損害額から自己負担額(免責金額)を差し引いた金額が保険金として支払われます。
例えば自己負担額を5万円に設定していて、交通事故による車の修理費が30万円だった場合は、自己負担額5万円を差し引いた25万円が保険会社から支払われます。
損保ジャパンの個人用自動車保険『THE クルマの保険』では、自己負担額の設定方法に「定額方式」と「増額方式」があり、以下の表のように自己負担する金額を設定できます。
| 定額方式 | 増額方式※2 | |
|---|---|---|
| 車両保険事故の回数にかかわらず | 車両保険事故 同年度1回目 |
車両保険事故 同年度2回目以降 |
|
0万円 – 10万円 |
|
- ※1:⾞対⾞⾃⼰負担なし特約をセットすることができます。
⾞両保険に⾃⼰負担額が設定されている場合でも、ご契約の自動車以外の自動車との衝突・接触事故にかぎり、⾃⼰負担額をなしとする特約です。 - ※2:ご契約期間が1年超の長期契約の場合は、保険年度ごとに車両保険事故の回数を数えます。
定額方式では、車両事故の回数にかかわらず、設定した自己負担額が毎回適用されます。例えば定額方式で自己負担額を「10万円」に設定した場合、車両保険事故1回目も車両保険事故2回目以降も、自己負担額は10万円です。
一方の増額方式では、車両事故の回数によって自己負担額が異なり、車両保険事故1回目よりも車両保険事故2回目以降のほうが自己負担額は高額となります。例えば増額方式で自己負担額を「5万円-10万円」に設定した場合、同年度車両保険事故1回目の自己負担額は5万円、車両保険事故2回目以降の自己負担額は10万円です。ご契約期間が1年を超えるご契約においては、保険年度ごとに車両保険事故の回数を数えます。
自己負担額(免責金額)を設定する際に見るべきポイント
自己負担額を0円に設定すれば、事故が発生したときに車両保険金額(協定保険価額)を上限として修理費(保険金)が全額支払われるため、自己負担が発生しません。しかし、月々の保険料は自己負担額を設定した場合よりも高くなるのが一般的です。一方、自己負担額を高めに設定した場合は、事故が発生したときの自己負担は大きくなりますが、月々の保険料を抑えられます。自己負担額を設定する際は、事故時にどの程度の金額なら負担できるのか、自分の経済状況と保険料とのバランスを考えて決めることが大切です。
3.1.自分の経済状況
自己負担額は、事故の際「すぐに無理なく支払える金額」を基準に設定するのが基本です。「5万円なら生活に支障が出ない」「いきなり20万円は払えない」など、自分の経済状況に照らして適切な金額を設定しましょう。
車両保険を使うことで翌年度以降の保険料負担が大幅に増えてしまう場合、修理費が少額であれば「保険を使わずに自費で直す」というのも一つの方法です。「少額の修理なら自費で賄う」と割り切れるなら、あらかじめ自己負担額を設定することで、毎月の保険料を抑えられます。
ただし、車両保険を使うケースや、対人賠償・対物賠償など車両保険以外で保険を使わざるを得ないケースでは、「車両保険の自己負担額の支払い」に加えて「翌年度以降の保険料アップ」も発生することになります。
「事故の際の出費(自己負担額)+翌年度以降の保険料アップ」と「固定費(毎月の保険料)」のどちらを重視するか、ご自身の家計の状況に合わせてバランスを考えることが大切です。
車両保険を使った場合に翌年度以降の保険料の負担がいくら増えるかは、保険代理店や保険会社に見積りを依頼して確認するとよいでしょう。
3.2.車の使用頻度
毎日の通勤などで車を頻繁に利用する方は、事故のリスクが高くなり、車両保険を使う(自己負担額を設定していれば自己負担が発生する)可能性も高くなります。そのため、事故時の補償を重視して、自己負担額を低めに設定することを検討してもよいでしょう。
自己負担額(免責金額)が発生しないケースもある
ただし、すべての事故で自己負担額が発生するわけではありません。車が全損した場合や相手がいる事故の場合は、自己負担額が発生しないケースもあるのです。ここからはそれぞれのケースについて詳しく解説します。
4.1.全損の場合
車が全損した場合は、自己負担額なしで車両保険金が支払われます。全損とは、車が完全に壊れてしまい修理できない場合や、修理費が車両保険の金額以上になる場合のことです。全損に該当した場合、自己負担額は差し引かれず、設定した保険金額をそのまま受け取ることができます。
4.2.相手からの賠償金が自己負担額に充当される場合
相手に過失がある事故の場合は、相手から受け取る賠償金が自己負担額に充当されます。このような事故では、賠償金の額が自己負担額以上の場合には自己負担額が発生しません。
例えば、以下のような内容で車両保険を契約していたとします。
- 車両保険金額(協定保険価額):100万円
- 自己負担額:定額10万円
仮に交差点で事故を起こしてしまい、自分の車に50万円の損害が発生したとします。過失割合(自分:相手)は80:20だったと仮定すると、自身の車両保険から40万円(50万円×80%)、相手の過失分10万円(50万円×20%)は相手側から保険金が支払われます。
通常であれば自己負担額10万円の自己負担が生じますが、相手から受け取った賠償金(回収金)は自己負担額に充当されます。今回のケースでは、自己負担額=賠償金額(回収金額)になるため、結果的に自己負担なく車両保険を使用できるというわけです。
なお、車両保険に「車対車自己負担なし特約」がセットされている場合は、ご契約の自動車以外の自動車との衝突・接触事故において、自己負担額は発生しません(上記のケースで車両保険を使った場合は、保険会社からは50万円の保険金が支払われ、相手からの賠償金10万円は保険会社が受け取ります)。
まとめ
本記事では、自動車保険における免責の考え方について解説してきました。免責とは、損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を負わないことを指し、免責となる特定の事項(事由)を「免責事項(免責事由)」といいます。車両保険については、ご自身で自己負担額(免責金額)を設定したり、増額したりすることで保険料を抑えることもできますが、万が一の事故の際に、想定していた補償が受けられないという事態にならないよう、しっかり理解したうえで見直しましょう。
※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年1月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
SJ25-57077(2026.02.12)
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