歯医者に掛かる費用とは?
最近、奥歯が痛み出して歯茎も腫れてきてしまいました。虫歯の疑いがあるので、歯医者で診てもらおうと思うのですが、歯医者に掛かった場合に発生する費用について教えてください。
歯の治療は、保険診療と保険外診療(自費診療)に分けられます。
■歯の治療には、保険診療と保険外診療がある
急に歯が痛くなっても、どれくらいお金がかかるのかわからなければ、つい歯医者さんに行くのをためらったりしませんか?
まず覚えておきたいのは、歯の治療には公的医療保険が適用になる「保険診療」と適用にならない「保険外診療(自費診療)」があることです。
おおまかなイメージとして、虫歯や歯周病、さし歯、入れ歯などの基本的な治療を行う場合、保険診療になりますが、金の入れ歯やセラミックの差し歯など、高い材料を使って審美面を重視した治療を行う場合、保険外診療になります。
■歯科にかかる費用は「基本診療料+特掲診療料+加算」の組み合わせで決まる
歯科治療にかかるお金は一般の病気やケガと同じく、診療報酬点数で決められていて、全国一律です。なお、この診療報酬制度は、医科、歯科、調剤報酬の3つに分かれており、2年に一度改定されます。現在の最新は2014年版です。
歯科診療報酬によると、初診料は234点(1点につき10円=2,340円)、再診料は45点(450円)と定められています。ですから、保険診療で3割負担の場合、初診料は700円、再診料は140円が患者さんの負担になるわけです(ただし、これは街の歯医者さんの場合。歯科大学病院など「地域歯科診療支援病院歯科」で診察を受けた場合、初診料は282点(2,820円)。さらに、外来での施設基準によっては「歯科外来診療環境体制加算」として30点(300円)が加算されることもあります)。
これらの初診料や再診料は、基本診療料に分類され、歯医者さんでだれもが支払う、いわば‘基本料金’といった費用になります。
そして、基本診療料とは別に決められているのが、特掲(とっけい)診療料と呼ばれる、医学管理等(コンサルティングなど)や画像診断(レントゲン撮影)、検査、歯石取り、麻酔、抜歯などの費用で、それぞれの処置や治療内容によって金額は異なります。
このほか医科と同じく、診察時間外や休日、夜間に診察を受けたとき、乳幼児が診察を受けたときなど、一定の加算が上乗せされることもお忘れなく。
■治療別の費用の目安について
歯医者さんといえば、虫歯の治療がすぐ思い浮かびますが、初診料や再診料に加算される虫歯の治療費は、相当ひどくない限り1本1,000~3,000円が相場といわれています。
保険外診療になると、病院が自由に設定できるので、高額になる場合も少なくありません。インレー(詰め物)にセラミックなどを使用すれば、1本1~3万円に跳ね上がります。
また、歯が溶けるほどのひどい虫歯ともなれば、歯を残すことが困難なので、「インプラント」「ブリッジ」「部分入れ歯」などの治療を行います。たとえば、インプラントは保険外診療で15~50万円など。それぞれ、素材によって種類はさまざまです。
基本的な考え方としては、現時点の費用を抑えたいのであれば、保険診療がお勧めです。しかし、保険診療は最低限の機能回復を目指して治療するため、場合によっては再度治療が必要になり、結果的に費用が多くかかってしまう可能性があります。治療前に歯科医とよく相談して、費用面も含めたメリット・デメリットをよく検討しましょう。
ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子
病院・病気にかかわるお金の疑問を分かりやすく解説します。
病気は人生で避けて通ることのできないものです。病気になると身体のことは勿論、お金のことも心配になってしまいますよね。身近な問題でありながらなかなかよく分からない病気とお金の関係をメディカルファイナンスの専門家である私がわかりやすく解説いたします。皆さまの病気にまつわるお金の不安や悩み事が少しでも解消されて心安らかな人生をおくるためのお手伝いができれば幸いです。
【URL】 | http://www.naoko-kuroda.com/ |
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【経歴】 | 大学卒業後、SEとしてシステム開発に携わる。在職中に、自己啓発の目的でFP資格を取得し独立系FPとして転身を図る。現在は、各種セミナー・講演の講師、各種メディアでの執筆、個人相談まで多岐にわたり活躍中。 |
【著書】 | 「50代からのお金のはなし~介護、相続、実家対策まるわかり」(プレジデント社)、「がんとお金の本」(ビーケイシー)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)など多数 |
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