洗車が終了したら、拭き上げに移ります。この後にワックス処理に進む場合は、ボディ表面に水分が多少残っていても問題はないので、この工程は手早く簡単に済ませてしまっても良いのですが、水洗いだけで終了させるときはしっかり拭き上げましょう。
自然乾燥に任せてしまうと、水分の中にあった汚れだけが水分の蒸発で表面に残った状態となり、仕上げが美しくならないからです。 拭き上げには柔らかくボディへの当たりがソフトで、かつ吸水力が強い人工セーム皮がベストです。昔は本物のセーム皮が主流でしたが現在はかなり高価になっている上に使った後の手入れも面倒です。新素材で作られた人工セーム皮が使い易いでしょう。 ただ、わざわざ買うのであれば、洗い晒して柔らかくなったタオルでもかまいません。吸水力がセーム皮より劣るので、まめに絞るように心掛ければ十分でしょう。拭き始める際の注意点は、乾いたセーム皮やタオルは使わない事です。キレイな水で満たしたバケツを用意し、この中で一度水分を含ませ、絞ってからボディを拭き始めましょう。乾いたウェスは当たりが硬く、洗車キズの原因になるのです。また、人工セーム皮は乾燥させると生地が痛んでしまうため、予め水分を含ませプラスチックの筒などに入って売られています。使い終わって保管するときも、キレイに洗った後、軽く絞ってこの筒に入れておきましょう。
拭き上げる順番はやはり高い所から。洗車の手順を繰り返す要領で、まずルーフからです。洗車で汚れは落ちているため、強く擦らず、前後の一方向に向けてウェスを滑らせる感覚で水分を吸い取って行きます。しかし、それでも拭いている面は汚れて来るものです。 手の届く範囲を終えたらバケツの中でもみ洗いして含んだ汚れを落します。再び軽く絞って拭き上げた方が、洗車キズを防げます。
ボンネット、トランクはやはり前後一方向、ドアなどの垂直面は上から下への一方向に拭き上げます。特に汚れがひどいドアの下半分は、洗車時にしっかり汚れが落ちていないと、拭き上げるウェスに汚れが付いて来ます。そのままの状態で拭き続けると洗車キズの原因になるので、マメにウェスを水洗いするよう心がけます。 また、吹き上げの最中に洗車で落ち切らなかった汚れを発見する事も多いかと思います。単純な洗車の拭き残りならウェスで拭っても良いのですが、落ちにくい場合はその場では無理をせず、後ほど説明する汚れ落としを参考にしてください。
石川芳雄