安全運転について、ドライバーの方々からよく質問を受けますが、運転テクニックから交通ルールの遵守までを考えると、十分一冊の本になるくらいです。そんな中、僕はいつも“心に余裕を持つこと”が安全運転の基本だと答えるようにしています。この極めてベーシックな心がけが何より安全運転につながると考えているからです。確認ひとつにしろ、交差点に差しかかって黄信号になったときの判断と行動にしろ、余裕があれば焦って起こすような危険行為をしないはずだからです。
1秒の余裕を持つ
具体的には、クルマで外出するときは時間の余裕を十分にみて出かけることを心がけています。“早く着きすぎるくらいがちょうどよい”という考えです。
たとえば1時間かかるところは1時間10分と考えて出発します。この10分がハンドルを握っているドライバーの気持ちにどれだけゆとりを与えてくれるか。これは測りしれない余裕を与えてくれると信じています。運転免許を取得してクルマを運転し始めて26年になりますが、公道上では大きな事故には遭っていません。運がよかったという面もありますが、きっと運転するにあたって心がけてきた“心に余裕を持つ”という信念が無事故につながっていると思っています。
さらに付け加えれば、1秒の余裕を持つことも大切です。事故の多くは1秒というほんの一瞬に凝縮されています。1秒早く気付き、1秒早くブレーキをかけていれば、ほとんどの事故は起こらないのです。事故になってから「あのとき、1秒早くブレーキをかけておけば……」と悔やまないために、1秒早く動作するよう心がけたいものです。
譲り合う気持ち
それに、ステアリングを握ったときこそ“譲り合う”ことが大切だと思います。ドライバーはみんな忙しい時代の波に乗って、“我先に”という風になっていたり、“お先にどうぞ”と譲っているクルマの後ろで「もたもたしている」とイライラするドライバーが多いのが現状です。でも他人への気遣いを忘れないゆとりが、安全運転につながるということを肝に銘じて、実践してみてはどうでしょうか。
ゴールデンウィークや夏休み、年末年始のお休みなど、連休時には帰省や行楽地への移動でクルマは手放せません。しかし事故を起こせばせっかくの楽しいドライブは台無し。とくにサンデードライバーの長距離運転、慣れない土地や道路での不注意は事故の元です。くれぐれも注意して安全運転を心がけてほしいと思います。
裏道には要注意
安全のためには、裏道を使わないことも大切です。カーナビの発達で見知らぬ土地でも裏道を間違いなく使えるようになりましたが、裏道は歩行者や自転車が多く、巻き込む危険があります。幹線道路を使うことを勧めます。こういうと「渋滞のなかでじっと待たせるのか」とお叱りを受けそうですが、「1時間かかるところが30分で着いた」というような話はあまり聞いたことがありません。出かけるときはネットなどで渋滞情報を確認して、出発時間やルートをあらかじめ確かめて、出発時間の調整や渋滞回避の方法を探ってみてはどうでしょう。
高速道路で渋滞にはまったときの安全運転の方法を教えましょう。渋滞中の追突事故は“少し流れては止まり”を繰り返すときによく起こります。追突されるのを防ぐ方法はハザードを出しながらルームミラーで後続車の動きを観察しながらゆっくりと減速することです。自分が停車することを後続のクルマにしっかりとアピールし、確実に停まってもらうよう心がければ追突されるリスクは大幅に減ります。もう1点は車間距離。渋滞するとついつい車間を詰めてしまいがちですが、割り込みされない程度の車間を常に保つことで追突するリスクを減らすことが可能です。
それから要注意は居眠り運転。眠くなったら、まずサービスエリアに入って10~15分眠るようにします。外気に触れたり、顔を洗うことでスッキリすることもいい効果があります。あくびが出たらサービスエリアに入る。続けて運転はしない心がけが大切です。
今回ご紹介したのは、本当に基本的な安全意識の持ち方と運転テクニックですが、これらの実践が家族を事故から守る要になるのです。ドライバーのみなさん、安全運転で楽しいドライブを。