著者
田中 靖浩(たなか やすひろ)
田中靖浩公認会計士事務所所長。産業技術大学院大学客員教授。
1963年三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社などを経て現職。ビジネススクール、企業研修、講演などで「笑いが起こる会計講座」の講師として活躍する一方、落語家・講談師とのコラボイベントを手掛けるなど、幅広くポップに活動中。
主な著書に『実学入門 経営がみえる会計』『良い値決め 悪い値決め』『米軍式 人を動かすマネジメント』(以上日本経済新聞出版社)などがある。
【要点1】
簿記は15世紀のイタリアで誕生した。簿記は、銀行が融資や回収、為替手形の発行や決済といった取引記録を付けてその記録を他の支店にも共有するために、そして、記録を残すことによってともに働く人たちや取引相手とのトラブルを防ぐために生まれた。
【要点2】
減価償却は、イギリスの鉄道会社で誕生した。減価償却が生まれたことにより、巨額の固定資産投資をしても利益を出し、株主へ配当することができるようになった。
【要点3】
アメリカに大陸横断鉄道が登場してしばらくすると、鉄道会社各社の合併が始まった。それにともない連結決算が行われるようになった。
レビュー
「誰にも書けなかった『会計エンタテインメント』爆誕!!」――本書を手に取ると、この帯コピーが目に飛び込んでくる。その横には「数字のウラにある、驚くべき人間ドラマ!」とある。これらのコピーは、会計知識を持たない要約者の背中をやさしく押してくれた。
本書は、簿記や財務会計、管理会計、ファイナンスの歴史をストーリータッチで解説した一冊である。帯にあるように、数字のウラに隠れた人間ドラマがいきいきと描かれているのだが、人間ドラマだけでなくその時代の芸術や象徴的な出来事と絡めて語られているのがポイントだ。たとえば「簿記と会社の誕生」と題された第1部。ここでは15世紀イタリアの「銀行革命」と「簿記革命」、17世紀オランダの「会社革命」が紹介されるのだが、そこに「最後の晩餐」をはじめとした3枚の絵画が巧みに絡められている。
本書で取り上げられるのは15世紀イタリアから21世紀のアメリカまで。一見会計とは関係がなさそうなレオナルド・ダ・ヴィンチやカール・ベンツ、ビートルズまで登場し、小説を読むようにページをめくっていけば自然と会計の歴史が理解できるしくみだ。「会計の歴史を学ぶぞ!」と意気込んで手に取った本書だが、思った以上にスラスラ読めて、楽しく学ぶことができた。本書はまさに「会計エンタテインメント」の傑作である。
田中 靖浩(たなか やすひろ)
田中靖浩公認会計士事務所所長。産業技術大学院大学客員教授。
1963年三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社などを経て現職。ビジネススクール、企業研修、講演などで「笑いが起こる会計講座」の講師として活躍する一方、落語家・講談師とのコラボイベントを手掛けるなど、幅広くポップに活動中。
主な著書に『実学入門 経営がみえる会計』『良い値決め 悪い値決め』『米軍式 人を動かすマネジメント』(以上日本経済新聞出版社)などがある。
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