テレワークがあるから、仕事と育児を無理なく両立できる

東東京支店 法人支社に勤務する瀬野裕麻さん

「テレワークの日は、お昼休憩や保育園に子どもを送った後などのすき間時間で少しずつ家事をこなすことができ、お迎えに行った後も自宅で子どもと過ごせる時間のゆとりがあります。夫の協力もあって、仕事と家事・育児を無理なく両立できています」

東東京支店 法人支社に勤務する瀬野裕麻は、テレワークを活用するメリットについてこう語ります。

瀬野の業務は、営業業務をメインに行いながら、営業を支える事務も担当しています。業務内容は、パートナーである代理店さんの成長をサポートするための経営支援や営業推進。テレワーク時は勉強会の資料を作成したり、必要なデータを提供したりするのが主な仕事。時短勤務制度を活用しながら週1~2回はテレワーク、それ以外はオフィスに出勤しています。

子どもの急な熱で保育園から呼び出されたり、休園のため自宅で面倒をみなければならなかったり……。子育てをしながらの業務は自分だけではコントロールが難しく、時には「周りに迷惑をかけていないかな」といった心理的ストレスを抱えてしまうことも。しかし、テレワークが会社として導入されていることによって、「他の社員も平等にテレワークをしていることもあり、自分だけが後ろめたさを感じる必要が減りました」と笑顔を見せました。

東東京支店 法人支社に勤務する瀬野裕麻さん

「職場の上司や同僚とも、チャットツールなどでコミュニケーションをとりながら、何かあったらお互いにカバーし合える体制ができています。そのおかげで、子どもの発熱で業務を丸一日休むということは、3年間で一度もありません」

また、業務がらパートナーである代理店さんとリモートで商談や打ち合わせを行うことも少なくないのですが、代理店さんも瀬野の働き方に理解をもって接してくれています。

「一度、保育園が休園して息子が自宅にいたとき、ミーティング中に『ママ……』と会議に入ってきてしまって……。そのときは、打ち合わせの参加者が『気にしなくていいよ、大丈夫!』と声をかけてくださり助かりました」

ミーティング中 ミーティング中

「自律的に働き方を選択する」オプションとしてのテレワーク

「自律的に働き方を選択する」オプションとしてのテレワーク

社員の幸せや働きがいをベースとして、保険事業とその先の安心・安全・健康の領域で、お客さまにとって価値ある商品・サービスを創造し、社会に貢献していく――損保ジャパンではこのミッションを掲げています。

全国に900を超える支店・支社・営業所などの拠点を持ち、2万人を超える社員が働いている損保ジャパン。4万6千を超える代理店さんとともに、全国のお客さまに保険商品やサービスをお届けしています。
これだけの拠点と社員がいると、当然ながら一人ひとりの業務内容も、ライフステージも、そして働く意義も多岐にわたります。
ミッションに掲げる、社員一人ひとりの「幸せや働きがい」を追求しつつ、「価値ある商品・サービスを創造」していくためには、生産性の向上と時間の創出は避けて通れない課題です。

損保ジャパンでは、2016年から全社を挙げて仕事のやり方をゼロベースで見直す、抜本的な業務改革に着手してきました。そして、新型コロナウイルス禍を契機に、新たなワークスタイルの推進に向けた制度やインフラの整備を進めてきました。
その一つが、テレワークの環境整備です。社外からのリモートアクセスの導入、業務プロセスの見直しによるペーパーレス化、デジタルツールの活用、テレワーク手当の新設など、場所や時間にとらわれない新たな働き方の実現に向けて取り組んできました。

一例として、お客さまに保険金をお支払いする「保険金サービス部門」では、全社員にスマートフォンを配布。電話転送機能を活用することで、会社にかかってきた電話を自宅からでも通話ができるように。また、LINEのチャットシステムを活用することで、請求書類もライン上で提出が可能になり、紙の書類をスキャンする対応も不要となりました。
さらに、書類をすべて電子化しクラウドサービス上で保管することで、テレワークを前提としたワークスタイルへの抜本的な転換を実現しました。

ただし、「テレワークをすること自体が目的ではなく、会社として強制するものでもありません」と、人事部 企画グループ リーダーの青木誠は言います。

人事部 企画グループ リーダーの青木誠さん

「テレワークは、社員が価値を創造するための手段であり、数ある働き方のオプションの一つにすぎません。さまざまなライフステージやミッションなどに応じて、社員一人ひとりが必要に応じて選択、活用するものとして用意しています」

その根底には「自律的に働き方を選択できる社員」という損保ジャパンが掲げる人材像があります。

「限られた時間の中で価値を最大限に生むための働き方は、社員一人ひとりが自律的に考え、選択すべきものと考えています。『こういう働き方をしてください』と会社が指示したり、制限をかけるものであってはなりません」

社員一人ひとりが自律的に働き方を考え、選択する――瀬野もまた、育児との両立をテーマに、自らの理想の働き方をデザインしている一人です。

「週に1~2回のテレワークの日は、データの抽出・分析や勉強会の資料作成など集中して作業したい仕事にあて、代理店さんなどに直接行く必要があるときは出勤するなど、業務の特性や期限などに応じて業務を割り振ることで、効率的に仕事ができています」

テレワークで生まれた時間を価値創造と自己成長につなげる

テレワークで生まれた時間を価値創造と自己成長につなげる

このように、一連の働き方改革によって自由に働き方を選択できるようになったことで、「社員一人ひとり創意工夫して仕事の生産性を高め、価値創出につなげています」と、青木とともに働き方改革を推進する人事部 企画グループの境崇充は手ごたえを感じています。

人事部 企画グループの境崇充さん

「特に営業の社員は日々複数の代理店さんを訪問し、車や電車での移動に多くの時間を割いていました。その移動時間がなくなったことで、一日の代理店さんとのアポイントを増やしたり、商談をより効率的に進めることができています。また、そこで生み出された時間を資料作成などの作業にあて、すぐリモートで代理店さんと共有するなど、代理店さんへのスピーディーな対応が実現できています」

テレワークがもたらしたのは、移動時間の削減による業務効率化だけではありません。日々の打ち合わせや商談などの「質」の向上にも寄与しています。

損保ジャパンには、各種保険の分野や業務において、豊富な専門知識と経験を備えた専門性の高い社員が多数います。以前であれば、物理的な制約からその社員の知見を生かせるフィールドは限られていました。それが、テレワークが普及したことで、勤務地にかかわらずその社員を全社的に「シェア」することが可能になったのです。

「例えば本社と地方の遠隔地にある代理店さんとをリモートでつないで、本社の社員が専門的なアドバイスを行うことで、代理店さん、ひいてはお客さまに対してより質の高い提案を実現できています。結果、お客さまの満足度も高まり、代理店さんにも感謝の言葉をかけていただけるケースが増えました」

人事部 企画グループの境崇充さん

さらに、このテレワークによって柔軟な働き方が実現したことで、社員が自身のキャリア形成や能力開発に取り組むための新たなチャレンジができるようになっています。
その一つが、社内副業制度「SOMPOクエスト」。所属部署での業務とは別に、所定の就業時間の2割を上限に、他部署の業務やプロジェクトに従事することができるものです。

一例を挙げると、茨城県で自動車保険の営業に従事する若手社員が「新しい保険提案の仕組みづくりにチャレンジしたい」と、自動車メーカーを担当する営業部門のプロジェクトに参画。他の部門の社員と協働で自動車保険の営業推進支援のツール開発などに携わりました。

勤務地にかかわらず、リモートシステムを活用しながら本社のプロジェクトにチャレンジできるこの「SOMPOクエスト」が、社員にとっても新たな自己成長の機会になっています。テレワークをはじめとする多様な働き方の選択肢があるからこそ、SOMPOクエストのような制度も実現でき、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成の後押しにもなっています。

「社員の幸せ」が組織の成長と発展をもたらす

「社員の幸せ」が組織の成長と発展をもたらす

テレワークをはじめとして、損保ジャパンが推進してきた一連の働き方改革。それが結果として組織にもたらすのは、「ダイバーシティ(多様性)」です。その必要性について、青木は次のように語ります。

人事部 企画グループ リーダーの青木誠さん

「日々の生活や仕事において、性別や年齢、職業などにかかわらずすべての人が、業種や業態などを問わずあらゆる企業や団体が、何かしらのリスクを負っています。保険商品というものは、そういったあらゆるリスクに備えるもの。そう考えると、お客さまにとって価値のある商品・サービスを開発・提供し、万が一のときに保険金をお支払いする私たちにとって、お客さまの多様なニーズに応えることが重要であり、ダイバーシティの推進が不可欠です」

意思決定を担う役員やマネジメント層だけでなく、「Z世代」に代表される若い世代や、育児や介護を抱える社員など、さまざまな属性を持った社員の多様な視点があってこそ、社会の変化やお客さまのニーズの変化をとらえた保険サービスを提供し続けることができます。そして、さまざまな働き方のオプションを用意することで、育児や介護などの制約を抱えた社員も活躍することができ、組織のダイバーシティを確保することができます。

「テレワークが普及していなかった頃は、子育てと両立している先輩社員が周囲にはまだ少なく、正直不安がありました」

瀬野は、育児休業から復帰する前の心境をそう振り返ります。そして、「テレワークがあったからこそ、今こうして、キャリアを諦めることなく働けていると実感しています」と明るい表情を見せます。

東東京支店 法人支社に勤務する瀬野裕麻さん

「テレワークだけでなく、社内には『育休フォーラム』という、育児休業中の社員が悩みや相談を気軽に投稿できるチャットグループがあります。私もそこに参加して、仕事と育児の両立を頑張っている社員たちの投稿を見ることで、自分も頑張ろう、と勇気をもらえます」

瀬野のように仕事と育児の両面で「幸せと働きがい」を追求する社員が一人でも増えることが、組織にダイバーシティをもたらし、それが組織の強みとなり、新たな価値創造をもたらす源泉となります。つまり、社員の「幸せと働きがい」が起点となり、組織の成長と発展が促されるのです。

東東京支店 法人支社に勤務する瀬野裕麻さん

「実はもうすぐ、第二子の出産を控えています。テレワークなどの環境があって精神的にゆとりが生まれたからこそ、もう一人家族がほしい、と思えました」

最後に瀬野は、そう打ち明けてくれました。個人の幸せも、働きがいも、どちらもあきらめずに追求する――彼女のように、テレワークを活用することで理想のワークライフバランスを実現する社員が一人でも多く増えることは、損保ジャパンとしてもとてもうれしいことです。同時に、彼女のような社員が戦力として働き続けてくれることが、組織の強さにつながると確信しています。

働き方の可能性を広げ、個人や組織にポジティブな「変化」をもたらすテレワーク。一人ひとりが職場環境や家庭環境、実現したいキャリアなどに応じて自律的に働き方をデザインするための選択肢の一つとして、損保ジャパンでは引き続き推進していきます。それとともに、そのテレワークが当たり前に活用され、多様な働き方を実現できる社会になることを願っています。