#SDGs みんなでアクション(社員の取組)「すべての人が自分らしく生きられる」社会をつくる
SOMPOホールディングス㈱人事部 兼 損保ジャパン長野支店松本諏訪支社
猪又 竜さん
損保ジャパンでは、社員ひとりひとりがSDGsの理解を深め行動につなげる取組として「#SDGsみんなでアクション」を展開し、SDGsや社会貢献活動に関連する取組を社内で共有しあう活動を行っています。
このコンテンツでは、「 #SDGsみんなでアクション」で共有された取組をご紹介させていただきます。
①「自分らしく」生きられる社会
猪又さん
私は、重度の先天性心疾患(生まれつきの心臓病)と共に生まれました。この病気は完治することはありません。この病気と共に歩んできた人生の中で、心臓病であることで、生きづらさや差別を感じることが度々ありました。
障害者差別が起こるのはどうしてでしょうか。障害者雇用が進まないのはどうしてでしょうか。LGBTQの差別が起こるのはどうしてでしょうか。引きこもりや自殺が起こる原因はなんでしょうか。
私は「人間はバラエティ豊かであるという事実に対する経験値不足」が原因だと考えています。例えば世の中には約8%の障害者手帳を持っている人がいます。あなたの友達や知り合いに障害者手帳を持った人がいる?と聞いたときに「誰もいない」と答える人が多いです。これってすごくおかしなことですよね。あなたが住んでいる地域の8%の人は障害者手帳を持っているのに、多くの人が知らないのはなぜでしょうか。それは、世の中の仕組みとして分離されているか、または、あなたが無意識に避けているかどちらかではないでしょうか。
車いすユーザーの友達がいる、心臓が悪い知人がいる、目の見えない知人がいる、人工呼吸器をつけている友人がいるなど、いろんな特徴を持っている人と同じ時を過ごすことで、自分の特徴を認識でき、できること・できないことは人それぞれ違って、補い合って生きているということがわかります。
そして、「助けて」って誰かに言うことが恥ずかしいことじゃないとわかります。助けてって言っても良いと分かった人は自己肯定できるようになります。「助けて」と言える社会は「自分らしく」生きられる社会のはずです。お互いの違いを認め合える世の中は差別がなくなります。みんな同じことができるはずだ、みんな同じことができて当たり前という考えを無くすことが大事です。
心臓の手術直後の写真です。手術を何回受けても完治することはありません。
あなたの住んでいる地域にはいろいろな特徴をもった人がともに過ごしていることを表したポスター。
②猪又 竜さんの活動 ~出会う機会を作ること・増やすこと~
上記のような社会を作るためにまず取り組まなければいけないことは「いろいろな特徴を持っている人と出会う機会を作ること・増やすこと」であるとして、猪又さんは以下のように幅広い活動を行われています。
- 長野県知事から委嘱を受けた「長野県ヘルプマークディレクター」としての活動
→ヘルプマークを付けている当事者として、ヘルプマークの啓発・配布、企業での講演を行われています。
(長野県のヘルプマークについてのWEBサイトはこちら) - 長野県教育委員会の人権教育講師派遣事業の講師
→長野県内の小~高校に赴き、「多様性と助け合いの社会を知ろう ~きみはきみのままでいいんだよ~」というテーマで講演をされています。 - 大学、企業・行政での講演
→例えば看護学部の学生さんには猪又さんのライフヒストリーを軸にして、病気を持つ子供たちには大人になることを見据えた支援が必要であることや、子供が自分の特徴(病気も含めて)を他人に説明できることの重要性などをお話しされています。 - YouTubeチャンネル「Living With Heart 〜みんなの生き方〜」の配信
→心臓血管外科医(横浜市立大学附属病院の立石実医師)と看護師(筑波大学教授 落合亮太さん)と共に、先天性心疾患と共に生きる人の参考になる動画を配信されています。
(YouTubeチャンネルはこちら) - 日本成人先天性心疾患学会への参加(患者と医療従事者との協働/患者としての論文作成)
→患者さんも積極的に医療にかかわることで「患者がよりよく生きる」という広義の医療への貢献を目指されています。
(猪又さんの論文はこちら) - ZOOMイベント「ダイバーシティ&インクルージョンをみんなで考える会」の定期開催
→毎回、様々な特徴がある人をお呼びして実生活などをお話いただく会。過去には1型糖尿病の方、オストメイトの方、全盲の方、ダウン症の女の子のお母さんなどをお呼びしました。とても温かい会とのことです。SOMPOのみなさんにも参加を呼び掛けて、弊社内の人間のバラエティの豊かさに対する経験値を上げてもらう活動に取り組まれています。 - さらに‥2022年4月から、長野看護専門学校の非常勤講師を務められています。
→准看護師・看護師をめざす生徒さん向けに「自分らしく生きること」を主軸に、「社会で生きる難病を持つ人の困りごと」や「支援制度」「障害の社会モデル」などについての講義をされています。
③猪又 竜さんの思いと、SOMPOのパーパスの掛け算
猪又さんは「すべての人が自分らしく生きられる社会」を作りたいという思いを持っており、SOMPOもまた「“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というパーパス(存在意義)をグループの目指す姿として定めています。(SOMPOのパーパスについてはこちら)
SOMPOと猪又さんは、思い描く共通の未来、社会の実現をともに目指していきたいと考えています。
猪又さん
講演活動は以前は有給休暇を取って完全にプライベートで行っていました。現在ではSOMPOホールディングスの業務として講演ができています。
講演先の教員や担当者と雑談するなかで、SOMPOは地域に対してどうやって貢献していくか考えていることに加え、この講演は会社の業務でできていること、交通費などの経費は会社が出してくれていることなどをお伝えすると「素晴らしい会社ですね!」という反応が返ってきます。SOMPOをとても誇らしく感じる瞬間です。SOMPOのファンを増やす一助になっていると自負しています。
加えて、講演の際に頂戴する講演料については、SOMPOホールディングスへ任意(ゼロ円でもかまいません)の金額を頂戴することになっております。頂戴できたお金は後日、NPOなどに全額寄付をすることになっています(消費税分を除く)。講演依頼元のみなさまもお金が社会貢献へ回るということで、気持ちよくお支払いしていただける仕組みになっています。
④難病を持って生きてきた経験から伝えたい想い
猪又さん
「きみはきみのままでいいんだよ」
学校では筋ジストロフィーとともに生きる男性と一緒にタッグで講演を行っています。私は心臓病という見た目ではわからない特徴があり、筋ジストロフィーの男性は電動車イスで生活しているので、見た目でわかる特徴があります。この2人が一緒に子供たちの前に立つことによって、人間のバラエティの豊かさを少しでも実感してもらおうという目的があります。
子供たちに、「人間はバラエティ豊かであって、できること・できないこと、得意なこと・苦手なことはみんなそれぞれ違うから、助け合って補い合って生きているんだよ」「できないことがあればだれかに助けてもらえば良い。自分を責めなくていい、きみはきみのままで良いんだよ。助けてと言える人になろう。得意なことで誰かを助けよう。」とお話ししています。みなさんも自分自身を認めて、ありのまま、自分らしく生きてほしいと思います。
筋ジストロフィーと共に生きる、心臓病と共に生きる、2人のタッグ講演です。
世の中はパズルのようなもの。みんなはピース。誰かの凹を誰かの凸で補って、助け合って作られています。