覚えておこう。上座と下座
席次や席順の話の前に覚えておきたいのが「上座」(かみざ)と「下座」(しもざ)という言葉。上座とは役職が高い人の場所、下座とは役職が低い人の場所を指します。社内の場合は、役職が高い人に上座に就きますが、お客さまがいる場合には、たとえ自社の偉い人がいたとしてもお客さまが上座となります。
会議室で座っていいのはどの席?
社会人といえば、会議。オンラインでの打合せも定着しましたが、大事な商談や提案の機会には、実際に会って行うことが多いでしょう。
会議室での基本ルールは、出入口から一番遠い位置が上座、一番近い位置が下座です。社内の会議なら机を挟んで奥から順に偉い順に、お客さまをお迎えする場には、出入口から遠い側の一番奥が上座となります。
プロジェクターがある場合には、画面を見やすい位置を上座と考えるといいでしょう。会議室の形状により位置は異なりますが、目上の方に気持ちよく過ごしてもらえる位置を心がければ、失礼にはあたりません。
自社の社員だけが出席する会議の場合には、奥から左右に分かれて座っていきます。会議終了後は、基本的には上座の人から順に退出します。テーブルやイスの現状復帰、備品の片付け、忘れ物のチェックなどを終えてから退室しましょう。
応接室などで長椅子が置いてある場合は、長椅子側の奥から順に上座となり、お客さまは長椅子にご案内します。
ただし、一人がけの椅子が並んでいる場合には順番が異なります。出入口から遠い側の中央が上座。次いで一番奥、手前の順です。同じように、机を挟んだ向かいの中央が自社の上座となりますので注意しましょう。
エレベーターは操作盤の前をキープ
社会人になると増えるのが、上司や目上の方と一緒にエレベーターに乗る機会です。エレベーターの席次は「左上右下」が基本。向かって左側の奥が上座となります。下座は向かって右側の手前側ですが、操作盤が左にある場合には操作盤の前が下座。行き先や開閉ボタンの操作など、エレベーターの操作は若手社員の仕事です。
乗り込むときは、目上の方に先に乗ってもらうのがマナー。片手で扉を押さえて目上の方を通します。降りるときは、「開」ボタンを押しながら扉を手で押さえ、目上の方に先に降りてもらうようにしましょう。エレベーターでは他の乗客と一緒になることも多いため、必ずしもこのルールを厳守する必要はありませんが、長い時間待たせたり、通り道をふさいだりしないよう、素早く乗り降りができるとスマートです。
タクシーではナビができる位置に
社会人になったら、タクシーに乗る機会も増えますよね。そんなときは真っ先にタクシーを止めて目上の方を席に誘導し、素早く乗り込みます。タクシーの席順は、運転席の真後ろが上座。一番安全な席だといわれています。2番目が後部座席の左側、3番目が後部座席の中央となり、助手席が下座となります。
若手社員が座るのは、下座である助手席。行き先を伝えて道案内をし、最後に精算するところまでしっかりと努めましょう。タクシーが少ない場所では、乗る時間に合わせてあらかじめタクシーアプリや電話で迎車を頼んでおきます。初めての場所に行くときは事前に行き先までの道のりを調べて、スムーズに案内できるようにしておきましょう。
会食は出入口付近の席へ
飲み会や会食の席でも、出入口から一番遠い奥が上座、手前が下座というルールは変わりません。テーブル席では、出入口から遠い側の奥から順番に座っていきます。ただし床の間がある場合には、床の間の前が上座。その後は、奥から順に座っていきます。
中華料理などの円卓の場合は、一番奥が上座となり、2番目の方が右隣、3番目の方が左隣という風に、右と左に分かれて席についていきます。下座は出入口に一番近い席になります。店員さんとコミュニケーションを取り、参加者のお料理や飲み物の減り具合を見ながら追加の注文を取るなど、参加者全員をおもてなしするつもりで臨みましょう。
席次はおもてなし
上座、下座と聞くと難しそうですが、何度も実践を重ねて慣れていければ大丈夫。「出入口に一番遠い位置が上座、近い位置が下座」という基本を覚えておきましょう。席次はおもてなしの心や相手を敬う気持ちを形にしたもの。必要以上に縛られる必要はありませんが、皆が同じ場で心地よく過ごすためのマナーとして、頭に入れておくといいですね。