日常に溢れている「めんどくさい」

朝起きて、学校に行き、夜遅くに帰宅する。そんな毎日の繰り返しのなかで、私たちは一体どれほどのめんどくさい出来事に遭遇しているのだろう。
「めんどくさい」という感情は厄介で、この感情がどんどん蓄積されていくと、毎日をネガティブな気持ちで過ごすことになってしまう。「めんどくさいのならやらなければいい」という意見があるかもしれない。しかしながら、問題はそこまで単純ではないのが現実だ。「めんどくさい」と感じる出来事のうちのほとんどが、「やらなければいけない」出来事なのである。「やらなきゃいけないのはわかっているけど、めんどくさい」。これこそが、「めんどくさい」の実態だ。
この問題を解消すべく、本コラムでは我々Seel編集部が「めんどくさい解消術」を提案する。なお、本コラムで提案する解消術は、実際にSeel部員が検証しているため、わずかながらも効果はあるはずだ。以下の章で詳しく説明していく。

めんどくさい解消術とは

我々Seel編集部が提案する「めんどくさい解消術」は、どのような工夫を施せば「めんどくさい」という感情を抱かずに「めんどくさい」出来事に対処できるのか、という我々の好奇心から生まれた。

本コラムでは、ある大学生の一日を想定し、そのなかで出くわす「めんどくさい」出来事を、具体的に「朝のめんどくさい」、「昼のめんどくさい」、「夜のめんどくさい」と3つの時間帯に分け、それぞれに対する解消術を部員が考案し、検証した結果を紹介していく。

ほんの少しだけ考え方を変えてみたり、意外な道具を使ってみたりするだけで、物事に対する印象はぐっと変化する。Seel編集部が普段の制作で大切にしている「ひねくれた視点」。その「ひねくれた視点」で角度を変えて物事を見てみることで「めんどくさい」という感情を解消することができるかもしれない。「ひねくれた視点」を活かしたSeel編集部ならではの解消術を紹介しよう。

朝のめんどくさい:通学

朝のめんどくさい通学

辛い通勤・通学の時間、みなさんはどうお過ごしだろうか。通勤・通学は満員電車に詰め込まれ、移動にも時間がかかる、実にめんどくさい行為だといえる。人は景色を見たり、携帯を見たりすることで、退屈で辛いこの時間をやり過ごす。しかし、毎日同じ路線に乗っているので景色を眺めるのも飽きたという人も多いかもしれない。携帯も同様で飽きる。

実はその景色にもまだ楽しみは残っていると我々Seel編集部は考える。ここでは筆者が実践している通学をエンジョイする極意をいくつか伝授する。

通学をエンジョイする方法

1.乗車前の準備

乗車前の準備

通学を楽しむには乗る前の準備が9割だと考える。自分の好きな味の飴を必ず買おう。乗る前に飴を一粒舐めることでリラックスした状態で通学することができる。この日筆者がチョイスしたのは、かりんのど飴。1日のスタート地点でもあるこの時間に自分の不調なポイントは癒しておくことが大事だ。もちろんお手洗いにも行っておこう。通学の時間を快適に過ごすかはこの時間をいかにうまく使うかに左右される。

2.ホームにて

ホームにて

そして、ホームへ降り立つ。この時にどの位置に乗るかを考えるのも大切である。いかに乗り換えしやすいか、改札にアクセスしやすいかが大事だと考える人も多いだろう。もしくは座ることのできる確率やお気に入りの位置等があるかもしれない。私は普段2つの路線を利用しているが、1つ目の路線では乗り換えのしやすさを重視している。到着ホームが狭いこの路線では乗り換え口にいかに近いかが重要である。一方で、そういったドアの前は混雑していることが多い。マナーを守って乗ることを意識したい。

3.車内での過ごし方

2つ目の路線は長距離を走る路線である。自分は比較的空いている号車に乗り、景色を眺めることが多い。沿線の工事現場の進行状況を気にしてみたり、すれ違う列車の本数を数えてみたり、通過する駅の広告に写る文字を読むチャレンジをしてみたり、楽しめるものはいっぱいある。窓ガラスに映し出される連続の光景からさまざまなものが発見できる。

4.もしも遅延してしまったら......

もしも遅延してしまったら

朝の電車につきものなのは遅延である。急がなければいけない人もいるだろうが、もし余裕があるなら振替輸送で普段乗らない路線に乗り、新たな光景に出会ってもいいと思う。鉄道路線は無機的なものだと思われるが、その中にちょっとした変化や面白みがあるといえる。我々の通学ももっと楽しんで向き合うべきではないだろうか。

まとめ

通学というものはめんどくさい行為であることには違いない。通勤・通学時間帯の電車は混む上、普段の移動より時間がかかる。その中でいかにその時間を楽しむかが大切である。快適に過ごすためにのど飴等を準備し、自分のベストポジションを確保することは大切だ。また、余裕を持った心も大事である。何かとイラつきやすいこの時間帯、余裕を持っていれば、電車の中でぎゅうぎゅうに押されても、少しは楽に感じられる。

今回は通学の時間をどう楽しむのかについて、工夫した結果をお伝えしてきた。自分自身、通学時間はめんどくさい時間で嫌いだった。ただ、余裕を持って楽しもうとすれば、この時間も価値あるものになる。1日の幕開けであるこの時間をどう過ごすかによって我々の生活も変わっていくだろう。この検証の途中で、通学中にアイマスクをつけている人を見かけた。我々も彼のようにもっと自由になってもいいかもしれない。

昼のめんどくさい:人付き合い

昼のめんどくさい、人付き合い

みなさんは人付き合いでめんどくさいことはあるだろうか? 大学や会社のような大きな組織の中に入ると、良くも悪くも多種多様な人と出会うことができる。もちろん自分と馬が合い深い仲なる人もいれば、いい人ではあるのだけど、どうも仲良くなれない知り合いが生まれてしまうのも仕方ないことである。だがそんな知り合いほどなぜか道中で偶然出会ってしまう。「よっ!」と声をかけられたら最後、無視することはできない。話せる共通の話題もないがなんとか世間話をしないといけない。ああ、めんどくさい。こんな時の解決方法を考えてみよう。

解決方法

解決策1:電話をしているふりをする。

まずは電話をしているふりをするのはどうだろうか。いくら“よっ友”(よっと挨拶だけする程度の友達のこと)とはいえ電話をかけている人に話しかけることはできないだろう。

解決策2:世間話の話題を集めたカードデッキを作る

世間話の話題デッキを作るのもいいだろう。とっさの会話もこれで心配ない。誰とも会話できる当たり障りのない話題をデッキに組み込むことをおすすめする。特に大学生であれば「サークルは何に入ってたっけ?」といえば乗り切れること間違いない。これで会話を考えるめんどくさいは解決するのではないだろうか。

解決策3:ものすごいイメチェンをする。

いっそのことまるっきりイメチェンしてしまえば気づかれないかもしれない。服装を変えてみたり、髪型を思い切って派手な色にしてみたり。そうすれば気づかれずに自由にキャンパスを歩き回れるのではないだろうか。イメチェンして爽やかな大学ライフを送ってみよう。

検証結果

解決策1

解決策1電話をしているふりをする

電話をしていればたしかに声をかけられることはなく、とても安心して歩くことはできた。しかしながら「よっ!」と声をかけられるのはいつも唐突である。常に電話をかけながら歩くのは不自然だ。そこだけが弱点かもしれない。 
解決レベル ☆

解決策2

解決策2話題デッキを使用しての会話

話題デッキを作ることで会話に頭を使うことがなく気が楽に話すことができる。たしかにこれを作れば“よっ友”を避けることはできないが、会話を一から考える必要がないので会話のハードルがとても下がった。ただし、ここまでの準備をするのが多少面倒ではあるかもしれない。参考になるかわからないが、私の話題デッキは「授業なに取ってるの?」「なんか雰囲気変わったね」「また飲みに行こう」の3つである。使えそうであれば是非参考にして欲しい。
解決レベル ☆☆☆☆

解決策3

解決策3イメチェン後

服装の雰囲気を変えただけでも声をかけられる確率は格段に減ったように思える。“よっ友”側も知り合いか判別がしにくいものには流石に声をかけないみたいだ。イメチェンすることは声をかけられないだけでなく、新しい自分になれた気がして爽やかな気分で歩くこともできる。気分が浮かないときはイメチェンしてみるのはいかがだろうか? 
解決レベル ☆☆☆☆☆

まとめ

ここでは3つの“よっ友”からの避け方を紹介したが、ひょんな出会いが将来につながることもある。すべてを避けるのはナンセンスなことかもしれない。しかしながらたまには気を楽にしてキャンパスを歩きたいものだ。そんなときにこの方法を試してみてもいいかもしれない。

夜のめんどくさい:お風呂 

浴槽とアヒルのおもちゃ

一日の終わりに待ち構えるめんどくさい行為、それが、「お風呂」。帰宅し、ベッドに横になってからお風呂に入っていないことに気づく......。そんな苦い思いをしたことがある人も少なくないはずだ。ここでは、そんなお風呂のめんどくさいを解消する方法を伝授する。ポイントは「お風呂に入るのがめんどくさい」という気持ちを無くすこと。そうすればきっと、お風呂に入りやすくなるはずだ。

今回Seel編集部が提案するめんどくさい解消術は、ズバリ、お風呂カラオケだ。ドラマやアニメなどで、浴室で歌を歌うシーンを見たことがある方も多いのではないだろうか。この解消法は、そのようなイメージから着想を得て考案されたものである。その方法をみてみよう。

解決方法

1.自己暗示をかける

「自分はお風呂に入るのではなく、カラオケをしにいくのだ」と自己暗示をかける。これによって、お風呂に入ることへの抵抗感をぐっと下げる。お風呂に入ることへの抵抗感さえ解消してしまえば、あとはこっちのもの。

2.湯船に浸かりながら好きな歌を歌う

アカペラでもよし、デジタル機器を持ち込んでカラオケ映像とともに歌うのもよし、採点アプリを用いて本格的にカラオケを楽しむのもよし......。気持ちよく歌えさえすればなんでもいい。ストレスを感じずに、自分の好きなように楽しむことが大切だ。

応用編.楽器を持ち込む

お風呂カラオケ上級編としてオススメするのが、マラカスやカスタネットを持ち込むことである。ひとりの入浴でも、まるで友達とカラオケに来ているかのような気持ちになり、盛り上がること間違いなしであろう。

検証結果

お風呂でカラオケ

実際に、この方法を試してみたところ、お風呂カラオケはお風呂のめんどくささを解消するということがわかった。ポイントはやはり、「お風呂に入るのではなく、カラオケをするのだ」と強く思い込むことである。このように自己暗示をかけたことで、無意識のうちに身体が浴室へと向かうから不思議だ。この工程は忘れずに行いたい。今回は、デジタル機器を持ち込みYouTubeでカラオケ映像を流すスタイルでお風呂カラオケに挑んだのだが、想像よりも楽しむことができた。浴室の声の反響具合がちょうどよく、いつもより上手に歌うことができたような気がして、気分も上がった。次はどの曲を歌おうかと、またお風呂に入るのが楽しみになったことには驚いた。お風呂カラオケは、どうやら長期的に効果があるめんどくさい解消術であるようだ。だが検証の結果、注意点を発見した。時間帯や音量に気を付けなければいけないということだ。浴室は声がよく響いてしまうため、遅い時間帯に実行してしまうと、周囲の人たちに迷惑をかけてしまう。筆者は、家族にうるさいと怒られてしまった......。

めんどくさい解消術で毎日を楽に

いかがだっただろうか。今回のコラムでは、通学、人付き合い、お風呂の3つの出来事に対するめんどくさい解消術を紹介した。どの解消術も気軽にできるものなので、読者のみなさまにもぜひお試しいただきたい。

今回紹介した3つの出来事以外にも、めんどくさい出来事は日常生活のなかにたくさんある。独自のめんどくさい解消術を考案し、実践してみてはどうだろうか。実は、めんどくさい解消術は解消術を考案すること自体がとても面白く、実践して効果を感じられた時には達成感を味わうことができる。「めんどくさい」を解消するだけではなく、面白さや達成感も得られるという利点もあるため、ぜひオリジナルの解消術を考案してみてほしい。

日常のなかの「めんどくさい」という感情を少しでも減らすことができれば、日々の生活の精神的負担が減り、毎日を楽しく過ごすことができるかもしれない。めんどくさい解消術のようなほんの少しの工夫で、辛く、退屈に感じていた日々の生活がわくわくしたものに変わる。本コラムを通して、自分なりの工夫を施せば、毎日を楽しく過ごすことができるということを伝えられていればと思う。めんどくさい解消術が、読者のみなさまの日常生活をより楽しいものにする手助けとなれれば幸いである。

合わせて読みたい「Seel vol.46 お風呂」

合わせて読みたい「Seel vol.46 お風呂」

本コラムは、Seel編集部が制作したフリーマガジン「Seel vol.46 お風呂」が基となっている。マガジンの方では、本コラムで紹介した「お風呂カラオケ」以外のお風呂を楽しむコツが紹介されている。そのほかにも、入浴という行為を詳細に分析したり、お風呂にまつわる謎を調査したりと、お風呂が徹底的に研究されたSeel編集部渾身の一冊となっている。ぜひ、本コラムと合わせて読んでいただきたい。お風呂嫌いな方でも楽しめること間違いなしであろう。

「Seel vol.46 お風呂」は都内のカフェや本屋に設置する予定である。詳細は、Seel編集部の公式ウェブサイト をチェックしていただければと思う。自宅への発送も行っているので、「お問い合わせフォーム 」から気軽にお問い合せいただきたい。

※お問い合わせを多数いただいた場合、ご対応までお時間をいただくことがございます。ご了承ください。

<プロフィール>
この記事を書いたのは
立教大学フリーマガジン制作団体 Seel編集部
石崎健人、齋藤結鶴、佐々木高寛