「SFA SPRING FAIR 2024」に見る色とりどりの学生フリーペーパーの世界
2024年3月30日。東京都立産業貿易センター台東館は、「好きなもの」に熱中する若者たちの熱気に沸いていました。
そこで行われていたのは…学生団体「SFA」が主催する学生フリーペーパーの祭典「SFA SPRING FAIR 2024」!
全国各地の学生たちが制作するフリーペーパーやZINE(個人やグループが制作する冊子)が一堂に会し、それらの展示や配布、ゲストを招いてのトークショーなどが行われるイベントです。
会場内には56もの団体別ブースが設置され、制作者本人たちが自慢のフリーペーパーを展示。いずれも個性やこだわりがキラリと光る、名作・力作の競演となりました。
デジタルメディアが世の中を席巻している今も、これだけの学生フリーペーパーが発行されていることに、編集部一同びっくり!
そして未来を切り開く学生たちの文化的活動を応援したいSOMPO Parkは、今回、協賛企業として参加させていただきました!イベントと平行して、SOMPO Park会員の人気投票で入賞作品が決まる「SOMPO Park学生フリーペーパーグランプリ2024」というWEB企画も実施しました。
※投票は終了。投票結果はこちら。
そこで今回は「SOMPO Park学生フリーペーパーグランプリ2024」を受賞した制作団体の皆さんにお話を伺います!
受賞作品とそれを制作した学生の喜びの声を紹介!
会場で投票結果が発表された、「SOMPO Park学生フリーペーパーグランプリ2024」。上位3団体にはSOMPO Parkより、賞金および「SOMPO Parkにコラムを掲載する権利」を進呈させていただきました!各団体のコラムは後日公開予定です。お楽しみに!
受賞した3団体の代表者に、受賞した感想や作品への熱い想いをインタビューしました。併せてデジタルメディア全盛の今、時代の先端を行く学生の皆さんがなぜ紙による情報発信にこだわるのか、という点も伺ってみましたのでご紹介します!
★3位
てんてこ舞 vol.8
早稲田大学
語り手…田中千尋さん(写真中央左)
《日本文化をポップに発信するフリーマガジン》と銘打たれた「てんてこ舞」。受賞作のVol.8は「日本文化を歩いて楽しむ」をテーマに掲げ、編集メンバーが654,058歩もの総歩数をかけながら集めた情報を発信しています。
―受賞、おめでとうございます!
ありがとうございます。2019年設立と、まだ歴史が浅いサークルで模索しながらの制作となったのですが、みんなで意見を寄せ集めて作ったものが評価されたのは純粋にうれしいです。
―何が受賞のポイントだったと思いますか?
「歩く」というテーマがポイントだったのではないかと思います。普段歩く機会は多いと思いますが、そこをわざわざ見つめ直す機会は少ないですよね。じゃあ、改めて「歩く」ということを考えてみたときに、「旅行でよく食べ歩きってするよね」とか、「いつも通る道でも、早朝に歩いたら違う景色が見られるよね」だとか、見つめなおすことではじめて気づくことって多いと思うんです。そういった、日常にフォーカスしているからこその視点を提供できたことが評価につながったんじゃないかと思います。
―サークルの皆さんは紙媒体が好きですか?
好きな人が集まっていると思います。私個人の意見にはなりますが、紙媒体の魅力は「めくる楽しさ」だと思います。インターネットで自分のすきなことだけを探っていくのもいいのですが、「次に何が出てくるか分からない」という楽しみは紙媒体にしかないものです。まったく興味がなかったことも、知る機会を与えてくれるんですよね。
―投票してくださった皆さんに一言、おねがいします。
投票していただいて本当にありがとうございます。受賞号に限らず「てんてこ舞」は、お米、レトロ、歩く…など、日常のささいなトピックをポップに楽しく発信することをモットーにしています。この冊子がみなさんにとって、いつも触れている日本文化を見つめ直すきっかけになればいいなと思います。
★2位
Seel(シール) vol.46「お風呂」
立教大学
語り手…代表:齋藤結鶴さん(写真前列中央)、デザイン:落合英さん(写真後列左から2番目)、営業:野崎瑠南さん(写真後列左端)
《ひねくれた視点》をモットーに、世の中のあらゆるものを独自の切り口で楽しむフリーペーパー「Seel」。受賞作のVol.46ではあえて「全国のお風呂嫌いたちへ捧ぐ。」というキャッチコピーを冠し、お風呂や入浴という行為を多角的に掘り下げています。
―受賞の感想を聞かせてください!
齋藤さん:Seelの中でも、かなり思い入れの強い号で受賞することができました。Seelのコンセプトである《ひねくれた視点》がうまく表現できており、またデザインもかなり凝って作り上げた号です。メンバーみんなに愛されている号が大勢の方に評価され、とてもうれしく思っています。
―《ひねくれた視点》とは、どういう意味なんでしょうか?
齋藤さん:マイナスのイメージがついているものを「実はそうじゃない」とプラスに変えるような視点です。お風呂の号では、あえてお風呂が嫌いな人を肯定するスタンスで作っています。
―紙媒体には、どんな思いを持っていますか?
落合さん:私は、紙をめくる時の肌触り、質感がとても好きですね。それから、自分が作ったものが手元にモノとして残るところも好きです。
野崎さん:私も手元に残るというのはとても重要な要素だと思っています。今回のイベントも会場にたくさんのフリーペーパーが実際に並べられていて、ながめるだけでもワクワクすることができます。
―最後に、投票してくださったみなさんに一言おねがいします。
齋藤さん:この度は貴重な賞をいただきありがとうございます。私たちがやっていることがこうして評価されることはとてもうれしく、今後の制作の励みになります。
落合さん:これからも私たちの作品を皆さんにお届けして、普段気づかなかったことにも気づけるような、発見をもたらすような作品を今後も作っていきたいと思います。
野崎さん:私は本当にSeelが好きなので、好きなものがいろんな方に評価されたことをうれしく思います。とにかく作り手が好きだと思えるようなものを作っていきたいです。
★1位
Twinkle(トゥインクル) Vol.16「飛び出す地図」
金沢大学
語り手…代表:鈴木拓也さん
軽快なフットワークで石川県の魅力と最新情報を発信しつづけるフリーペーパー「Twinkle」。最優秀賞を受賞したVol.16では「飛び出す地図」と題し、いつもとちょっと違う景色が広がる冬の石川県で、注目のスポットを取材しています。
―まずは最優秀賞受賞、おめでとうございます!
ありがとうございます。全国には他にもたくさんの優れた学生フリーペーパーがあって、私たちはそれらを参考にしながら作り上げてきたので、まさか受賞できるとは思っていませんでした。
―そんな中、見事受賞できたポイントはどこにあると思いますか?
まずは、メンバーみんなの「やりたい」という気持ちを第一に毎回のテーマを決めていることだと思います。それから、私たちのサークルでは編集部だけでなく、みんなで一丸となってデザインを考えているので、そこが読んでいて飽きない、バラエティに富んだ誌面作りにつながったのではないでしょうか。
―そんなメンバーのみなさんはやはり、紙媒体が好きなのでしょうか?
そうですね。やはり紙媒体で表現したいし、何が表現できるかを常に考えています。一方で私たちは「石川県の魅力を発信したい」という気持ちがとても強いメンバーが集まっているので、実は紙だけにこだわりがあるわけでもないんです。「Twinkle」もスタート当初は色々なメディアで情報を届けるスタイルで、その1つがフリーペーパーでした。
―では最後に、投票してくださった皆さんへ一言!
これだけ多くの方に投票いただき、サークル一同うれしく思っています。
制作の後半に大きな地震が来てしまって、発行していいのかどうかという議論もありました。でもやはり石川の楽しい明るい話題や元気な姿を、フリーペーパーを通じて発信していきたいので、今後も見ていただけるとうれしいです。
取材班も学生フリーペーパーのとりこに…!
大盛況のうちに幕を閉じた「SFA SPRING FAIR 2024」。そこには、学生たちが1ページ1ページ丹念に想いを込めた結晶がきら星のごとく輝いていました。流行り廃りに流されず、好きと思ったものにありったけの情熱を傾ける学生たちの姿はとてもかっこよく、内容も、どれをとっても独創性とエネルギーのかたまり!取材に訪れたSOMPO Park編集部の面々も、デジタル媒体に身を置く者ながらすっかり学生フリーペーパーのとりこになってしまったのでした…。
受賞した学生の皆さん、おめでとうございます!そして今回惜しくも受賞を逃してしまった作品も、いずれ劣らぬ名作ぞろいであったことは間違いありません。次の機会があればぜひ、またチャレンジしてくださいね!
学生フリーペーパーに栄光あれ!