介護用品・福祉用具のレンタルサービスとは
高齢者の介護に悩む介護初心者の方々に向けて、介護用品・福祉用具のレンタルサービスについて詳しく解説していきます。
介護が必要な方やその家族が、必要な介護用品を一時的に借りることができる介護保険サービスがあります。このサービスは、介護保険制度の一環として提供されており、要介護認定を受けた方が利用できます。
レンタルサービスの大きなメリットは、高額な介護用品を購入する必要がなく、必要な期間だけ利用できることです。また、介護の状況に応じて適切な用具を選択し、変更することも容易です。
対象別の介護用品・福祉用具一覧
介護用品・福祉用具は、利用者の状態や目的に応じて様々な種類があります。主な対象別の用具を紹介します。
移動補助用具
- 車椅子
- 歩行器
- シルバーカー
- 杖
入浴補助用具
- 浴槽用手すり
- シャワーチェア
- 入浴台
排泄補助用具
- ポータブルトイレ
- 尿器
- 差し込み便器
床ずれ防止用具
- エアマットレス
- 体位変換器
移乗補助用具
- スライディングボード
- 移乗用リフト
居室用品
- 介護用ベッド
- 床ずれ防止マットレス
- サイドレール
介護用品のレンタルができないものもある
介護保険制度では、以下のようにレンタル対象外の介護用品があります。これらは、衛生面や個人の体型に合わせる必要があるためです。
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部分
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの吊り具の部分
- 排泄予測支援機器
など
ただし、これらの介護用品は、介護保険制度の特定福祉用具購入費の支給対象となっており、一部購入費が介護保険から支給される場合があります。詳細については、ケアマネジャーや地域の介護保険窓口に相談してみましょう。
介護用品をレンタルするときの流れ
介護用品をレンタルするときの一般的な流れは、以下のようなイメージです。
- 要介護認定を受ける
- ケアマネジャーと相談し、ケアプランを作成
- 福祉用具専門相談員と相談
- 必要な介護用品を選択
- レンタル契約を締結
- 介護用品の納品と使用方法の説明
- 定期的なモニタリングと必要に応じた調整
ここでとくにポイントとなるのが、ケアプランの作成と介護用品の選択です。
ケアプランを作成
ケアプランとは、介護保険サービスの利用計画のことで、利用者の状態や目標、必要なサービスの内容や頻度などが記載されます。ケアマネジャーが中心となって、利用者や家族の希望を聞きながら作成します。
介護用品のレンタルもケアプランに含まれるため、どの介護用品をレンタルするかはケアマネジャーと相談しながら決めていきましょう。
ケアマネジャーの探し方などについては、こちらもチェックしてみてください。
必要な介護用品を選択
福祉用具専門相談員は、様々な介護用品のカタログを用意しています。これらのカタログを参考に、利用者の状態や生活環境に合った適切な用具を選択することができます。
カタログには、各用具の特徴や使用方法、サイズなどの詳細な情報が記載されています。実際に用具を見て触れる機会も設けられることがあるので、使い心地や操作性を確認することをおすすめします。ただし、一部レンタルできる対象が限定されているので、詳細は福祉用具専門相談員に確認しましょう。
介護用品をレンタルするときの料金
福祉用具をレンタルする場合は、介護保険の自己負担割合に応じてレンタル料の１～３割を支払います。レンタル料は使用する商品によって大きく変わるため、例としてレンタル件数の多い介護ベッドや手すり、車椅子の費用をご紹介します。なお、福祉用具事業者によって同じ商品でも料金が変わることがあります。実際の費用は、福祉用具事業者に確認しましょう。
介護保険制度を利用してレンタルする場合、原則として費用の1割から3割を自己負担します（所得に応じて変動）。残りの費用は介護保険から給付されます。
例えば、月額のレンタル料金が10,000円の介護用ベッドをレンタルする場合、自己負担額は以下のようになります。
１割負担の場合：1,000円/月
２割負担の場合：2,000円/月
３割負担の場合：3,000円/月
ただし、介護保険の支給限度額を超えた場合は、超過分を全額自己負担することになります。
レンタルと購入はどちらがお得か
介護用品をレンタルするか購入するかは、利用期間や用具の種類によって判断が分かれます。一般的な目安として、以下のように考えられます。
- 短期間（6カ月未満）の利用：レンタルがお得
- 長期間（1年以上）の利用：購入がお得
- 頻繁に調整や交換が必要な用具：レンタルがお得
- 個人の体型に合わせる必要がある用具：購入がお得
ただし、これはあくまで目安です。利用者の状況によって最適な選択は異なりますので、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談しながら、より良い方法を選択することをおすすめします。また、購入の場合は介護保険を使えないケースもあるので、注意しましょう。
レンタルすると便利な介護用品・福祉用具
介護用品のレンタルでよく利用されている、介護ベッドと車椅子について、もう少し詳しく紹介しましょう。これらの介護用品は、多くの介護現場で重宝されており、介護の質を大きく向上させる可能性があります。使用する環境（屋内・屋外）や要介護者の身体状況、介護者の介助能力なども考慮しながら、レンタルしてみてください。
介護用ベッド
介護用ベッドは、要介護者の生活の質を大きく向上させる重要な介護用品です。主に以下のような特徴があります。
- 電動で高さや角度を調整可能
- 介護者の負担を軽減
- 要介護者の自立支援に役立つ
- マットレスの種類を選択可能（体圧分散や床ずれ防止など）
背上げ膝上げ機能と高さ調整ができるベッドに、一般的なベッドマット、ベッド柵を2本レンタルした場合、１カ月のレンタル費用は1割負担の方で1,500円前後です。高機能になるほどレンタル費用は高くなり、ベッドだけで月額2,000円近くになるものもあります。
レンタルするときは、部屋のサイズや介護者の動線、要介護者の状態などを考慮して適切なタイプを選びましょう。また、サイドレールや介助バーなどの付属品も必要に応じて追加しましょう。
車椅子
車椅子は、移動の自由を確保するために欠かせない介護用品です。ひと口に車椅子といっても、以下のような種類があり、それぞれ特徴が異なります。
標準型車椅子
最も一般的なタイプで、折りたたみできるので持ち運びに便利です。
リクライニング車椅子
背もたれの角度を調整することができ、長時間の座位が困難な方に適しています。
電動車椅子
モーターで駆動し、自力で操作できます。屋外での長距離移動にも適しています。
一般的な自走式または介助式の車椅子の場合は、1割負担の方で1カ月約300～1,000円程度でレンタルできます。頭までしっかり支えるタイプや、リクライニング機能が付いたものは、1,000円を超えることが多いです。電動式の場合は、1カ月のレンタル料金が2,000円程度となります。
上記の料金はあくまで参考ですので、実際の料金は各サービス事業者に確認してみましょう。
介護保険サービスの利用は、人によっては抵抗があるかもしれません。生活に不便を感じても「人の手は借りたくない」と考える方もいらっしゃいます。しかし、訪問介護やデイサービスには抵抗があっても、「介護用品があれば」と思う方もいらっしゃるかもしれません。介護用品・福祉用具のレンタルサービスを利用することで、より良い介護環境を整えることができるでしょう。一方、介護の状況は日々変化します。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すれば、そのときに合った介護用品・福祉用具を選ぶだけでなく、ときには介護用品・福祉用具の微調整や交換など、快適な生活を送るためのお手伝いなどもしてくれます。ぜひ効果的に活用して、高齢者にとっても家族にとっても負担の少ない介護ライフを過ごしてください
ウェルビオでは、介護に関する様々なお悩みに対するアドバイスを行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
