介護保険サービスの選び方とは
介護が必要になったとき、はたしてどのような介護保険サービスを選べばいいのか?と悩む方は多くいます。介護保険サービスは種類が多く、利用者の状況や家族の生活スタイルに合ったものを見つけるのは大変です。しかし、選び方のポイントを押さえれば、高齢者にとっても介護をする方にとっても便利かつ安心の介護生活を送ることができます。
高齢者の状況や介護保険サービスの概要を知ろう
まず大切なのは、介護を必要とする高齢者の状況や希望をしっかりと把握すること。例えば、どの程度の介護が必要なのか、自宅で生活を続けたいのか、あるいは施設に入所したいのかなどです。
次に、利用できる介護保険サービスについて情報を集めてみましょう。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、ケアマネジャーに相談するのも良い方法です。これらの専門家は、高齢者やまわりの家族の状況などに合わせて適切なアドバイスをしてくれます。
体験利用がおすすめ
利用したいサービスが決まったら、利用する前に体験利用やお試し利用をしてみるのもおすすめです。実際にサービスを体験してみることで、事前情報ではわからなかったことに気付き、より良い介護保険サービスに出合うきっかけになるかもしれません。
また、介護保険サービスは選んで終わりではありません。介護保険サービスの利用者の状況や生活スタイルは日々変わっていくので、定期的に見直しを行い、変化に応じて適切な介護保険サービスに変更していくことも大切なのです。
利用できる介護保険サービスの種類と特徴
では、具体的にどんな介護保険サービスがあるのでしょうか。詳しく紹介していきます。
介護保険サービスは大きく分けて、「在宅介護保険サービス」と「施設介護保険サービス」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
在宅介護保険サービス
在宅介護保険サービスは、自宅で生活しながら受けられる介護保険サービスです。利用者の方が慣れ親しんだ環境で生活を続けられるのが最大のメリットといえます。
また、在宅介護保険サービスはさらに二つに分けることができ、介護の専門家が自宅を訪問して提供する「訪問サービス」と、高齢者が施設に通って受ける「通所サービス」があります。
訪問サービスは、自宅での生活を支援する上でとても重要です。例えば、身体の状態が悪く外出が困難な方でも、訪問サービスを利用することで必要なケアを受けられます。
訪問サービス「訪問介護(ホームヘルプサービス)」
ヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護や、掃除、洗濯、買い物などの生活援助を行います。
訪問サービス「訪問看護」
看護師が自宅を訪問し、医療処置や健康管理を行います。
訪問サービス「訪問リハビリテーション」
理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。
訪問サービス「訪問入浴介護」
移動入浴車で自宅を訪問し、入浴の介助を行います。
一方、通所介護保険サービスは、日中の介護負担を軽減するだけでなく、高齢者の方の社会参加や生きがいづくりにも役立ちます。介護をする家族にとっては介護の時間から解放され、リフレッシュできる時間を持つことにもなります。
通所サービス「デイサービス」
日中、施設に通って、食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けます。
通所サービス「デイケア」
医療機関や介護老人保健施設などで、リハビリテーションを中心としたサービスを受けます。
在宅介護保険サービスについてはこちらもチェックしてみてください。
施設介護保険サービス
施設介護保険サービスは、高齢者施設に入所して介護を受けるサービスです。在宅での介護が困難になった場合や、より専門的なケアが必要な場合に選ぶサービスで、「施設系サービス」と「居住系サービス」があります。
施設系サービスのメリットは、24時間体制で専門的なケアを受けられるという点です。ただし、入所までに時間がかかることがあるので、早めに検討を始めることが重要となります。
施設系サービス「特別養護老人ホーム(特養)」
常時介護が必要な方が入所し、食事、入浴、排泄などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを受けられます。原則として要介護3以上の方が対象です。
施設系サービス「介護老人保健施設(老健)」
リハビリテーションを中心としたケアを行い、在宅復帰を目指す施設です。医療的ケアと生活サービスを併せて受けられます。
施設系サービス「介護療養型医療施設」
長期の療養を必要とする方のための施設で、医療・看護・介護・リハビリテーションなどを一体的に受けられます。
そして、自宅での生活と施設での生活の中間的な選択肢として、近年注目されているのが居住系サービスです。サービス付き高齢者向け住宅は、自立した生活を送りながら、必要に応じて介護保険サービスを利用できるという点で特に人気があります。
居住系サービス「特定施設入居者生活介護」
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などで、食事、入浴、排泄などの介護や、機能訓練、療養上の世話などを受けられます。
居住系サービス「短期入所生活介護(ショートステイ)」
特別養護老人ホームなどに短期間入所し、日常生活上の支援や機能訓練などを受けられます。
居住系サービス「グループホーム」
認知症の方の特性に配慮したケアを受けられる居住型施設です。アットホームな雰囲気の中で、少人数(通常5〜9人)で共同生活を送りながら、食事、入浴、排泄などの介護を受けられます。認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。
高齢者施設やグループホームについてはこちらもチェックしてみてください。
介護保険サービスを受ける前にすべきこと
介護保険サービスを利用するためには、いくつかの手続きが必要です。主なものとして、「要介護認定」と「ケアプランの作成」です。
要介護認定
要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために必要な手続きです。市区町村の窓口に申請を行い、訪問調査と主治医の意見書をもとに、介護の必要度が判定されます。
要介護度は、高いものから順に以下の7段階に分かれています。
要介護5
要介護4
要介護3
要介護2
要介護1
要支援2
要支援1
非該当(自立)
利用できるサービスの内容や介護保険適用の限度額は、要介護度によって異なります。例えば、特別養護老人ホームへの入所は原則として要介護3以上の方が対象となります。
要介護認定の結果に不服がある場合は、再調査を申し立てることもできます。また、状態が変化した場合は、区分変更の申請を行うことで要介護度の見直しを受けることができます。
要介護認定についてはこちらもチェックしてみてください。
ケアプランの作成
要介護認定を受けた後、高齢者や家族の状況に適した介護保険サービスの利用計画「ケアプラン」を作成します。ケアプランは通常、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成します。ケアマネジャーは、高齢者や家族の要望を聞きながら、医療・介護の専門家の意見も取り入れて、最適なプランを作成します。
ケアプラン作成の流れは以下のイメージです。
本人・家族との面談
アセスメント(心身の状況や生活環境の評価)
サービス担当者会議(関係する専門家との協議)
ケアプランの作成
本人・家族への説明と同意
サービス利用開始
ケアプランは定期的に見直しが行われ、状況の変化に応じて修正されます。高齢者や家族が納得できない場合は、変更を申し出ることもできます。
ケアマネジャーについてはこちらもチェックしてみてください。
介護保険サービスを選ぶことは、高齢者やそのまわりの家族の生活の質に大きく影響する重要な問題です。すぐに最も適切な解決法に辿り着けるとは限りませんし、正解がない世界でもありますので、状況に応じて柔軟に選択・変更していくことでより良い介護生活が送れるでしょう。
ただ、介護の状況や家庭の事情は一人ひとり異なるため、「本当にこれでいいのかな?」「もっと他の選択肢はないのかな?」と不安に感じることもあるかもしれません。そんなときは、専門家に相談することでより納得のいく選択ができることもあります。ウェルビオでは、介護の専門家が様々なアドバイスを行っているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。