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心構え

介護予防で健康寿命を延ばそう。フレイル予防の重要性や簡単にできるプログラムとは

カイゴさん

「健康寿命って何?」寝たきりや認知症などにならないよう、フレイルを予防して健康寿命を延ばすためのポイント解説をします。

健康寿命とは?

平均寿命とは、寝たきりや認知症など介護が必要な期間も含めた、生まれてから亡くなるまでの期間の平均のことです。一方、健康寿命とは日常生活に支障なく健康的に過ごせる期間のことです。日本人は、平均寿命は長いことで広く知られていますが、健康寿命との差はここ10年ほど縮まっていません。

健康寿命を延ばすことは、単に長生きするだけでなく、健康的な生活をより長く送るためにとても重要です。そのため、健康寿命を延ばすための取り組みが注目されています。

一方で、寝たきりなど、介護や支援が必要な状態になる方も少なくありません。そうした方たちのための制度としては、介護保険制度があります。介護保険制度で受けられる介護保険サービスについてはこちらもチェックしてみてください。

フレイル状態に注意しましょう

健康寿命を延ばすことが大事だと良く語られますが、大きなメリットとして、まずQOL(生活の質)が向上することが挙げられます。また、ADL(日常生活動作)を維持できることで、自分らしい生活を続けられるのです。当然、医療費や介護費用の削減にもつながります。要介護状態になると、特別養護老人ホームなどの施設入所や訪問介護サービスの利用が必要になることがありますが、健康寿命を延ばすことでこれらの費用を抑えられます。

さらに、社会参加の機会が増えることで、認知症予防にも効果があります。IADL(手段的日常生活動作)を保つことで、買い物や外出などの活動を続けられ、脳の活性化にもつながるのです。健康寿命を延ばすことは、個人の幸福だけでなく、社会全体にとっても大きな意義があるのです。

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健康とプレフレイル、要介護とフレイルの関係図。図に続いてフレイルについての詳細。

フレイルとは?

フレイルとは直訳すると「虚弱」のことです。加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態のことを指します。フレイルの段階で適切に措置を行うことで、寝たきりや認知症などの要介護の状態に進まず、もともとの健康な状態に戻る可能性があります。

フレイルの原因は、運動不足や偏った食事などの生活習慣だけでなく、意欲低下など精神的な要素も関係しているといわれています。下記の5つのうち3つ以上当てはまる場合はフレイル、1,2つ当てはまる場合はプレフレイルと診断されます。

歩行速度の低下
疲れやすい
活動性の低下
筋力の低下
体重減少

参照:「一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会」
参照:公益財団法人長寿科学振興財団
参照:「国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター」

要介護状態になる要因のトップは?

健康寿命を延ばすためには、いかに健康な状態を保つかがポイントです。厚生労働省のデータによると「介護が必要になった主な要因」は下記のとおりです。

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厚生労働省2019年国民生活基礎調査によると要介護状態になる要因の割合は、認知症24.3%、脳血管疾患(脳卒中)19.2%、骨折転倒12.0%、その他44.5%となっています。

トップの認知症は、2030年時点で全国に500万人を越えるといわれています。一方、骨折や転倒といった日頃のケアで予防できる可能性の高い症状もランクインしています。

参照:厚生労働省 「2019年国民生活基礎調査の概況」

健康寿命を延ばすポイントとは?

では、具体的にはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?フレイル予防のために、日常的に行える健康寿命を延ばす方法について考えてみましょう。

日常的にできる健康法は、身体への負担が少なく、毎日の生活に無理なく取り入れられるものがおすすめです。例えば、軽い運動やバランスの取れた食事、定期的な健康診断などが挙げられます。これらの習慣は健康維持に役立ち、フレイル予防にも効果的です。

介護予防のおすすめプログラム

今すぐ行えるプログラムです。まずは、簡単なことからスタートしてみましょう。

運動(転倒防止)

日頃から適度な運動を心がけましょう。フレイルを予防するだけでなく、転倒防止にも役立ちます。転びにくい身体を作るには、立つ、歩くなどの簡単な行動をこまめに意識し、筋力を衰えさせないことが大切です。とくに足のもつれなどから生じる転倒を防止するために、下半身を使う運動を日頃から実践すると良いでしょう。

立ったまま椅子の背もたれにつかまり、ひざを曲げずにかかとをゆっくりと上げ下げするだけでも、下半身の筋力強化につながります。テレビを見ているときなどの時間を利用して、日頃からこのような運動を取り入れると良いでしょう。

また、運動は認知機能低下の予防にもつながるといわれています。認知機能低下を予防する運動についてはこちらもチェックしてみてください。

食事

バランスの取れた食生活は、脳卒中や認知機能低下の予防にも効果があるといわれています。

高血圧は、脳血管障害(脳卒中)を引き起こす要因になりやすいため、塩分や糖質、コレステロールを摂り過ぎないようにしましょう。食物繊維を多く含む食べ物や、野菜、豆類などを積極的に摂りいれると良いでしょう。

また、要介護になる原因の一つとして挙げられる骨折を防ぐため、骨粗しょう症の予防につながる食生活を心がけることも大切です。骨粗しょう症を防ぐために効果的な栄養素は以下の通りです。

カルシウム

乳製品、大豆製品、小魚など

ビタミンD

レバー、きのこ、乳製品など

ビタミンK

納豆、ほうれん草、など

このような食材を取り入れ、バランスのよい食事を適切量摂るように心がけましょう。

健康診断

定期的な健康診断は大切です。生活習慣病やその他の病気だけでなく、フレイルやプレフレイルの兆候を早期に発見できれば、病状の進行を抑えられる場合があります。自分の健康状態をきちんと把握し、病気の兆候や身体の変化にいち早く気付けるように心がけましょう。

禁煙

喫煙習慣のある方は、禁煙を心がけることも重要です。たばこは健康寿命を縮める大きな要因の一つです。たばこには200種類以上の有害物質が含まれており、以下のような疾患(一例)を引き起こす原因となる可能性があります。

悪性腫瘍(がん/癌)
虚血性心疾患
脳血管疾患

身近に喫煙者がいる場合は受動喫煙についても注意をしましょう。

日常的な介護予防が健康へつながる

人生をより充実させるためにも健康寿命を意識して、介護が必要な状態にならないよう心がけることが大切です。定期的に健康診断を受けることはもちろん、日頃の運動や食事も、一度見直してみるとよいでしょう。

ウェルビオでは、介護予防や健康維持のお悩みに対するアドバイスを行っています。わからないことや不安なことがあったときは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修:理学療法士、未病栄養コンサルタント

黒山大輔

医療・介護の専門家。整形外科クリニックに14年間勤続し、医療・介護分野でのリハビリテーション業務や従業員教育、法廷研修・BCPなどの管理に従事する。地域事業として高齢者を対象とした健康講座の企画・運営、ヘルスリテラシー向上に資する書籍の出版やセミナー開催など、介護予防や健康寿命延伸に向けて多方面で活躍している。

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