「介護型」と「住宅型」がある
親の施設入居を考えるとき、希望条件として生涯暮らせる住まいを求めるケースが多いと思います。家族だけでなく、入居される方の多くも入居する施設を「終の棲家」と考えるのではないでしょうか。
しかし、施設によっては「終の棲家」とはならないケースもあるので注意が必要です。そもそも、高齢者施設は大きく分けると「介護型」と「住宅型」があります。
「介護型」は、介護を受けるために入居する施設です。介護保険で入居する公的施設と「特定施設（特定施設入居者生活介護）」 の指定を受けている有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・ケアハウスです。認知症対応型のグループホームも該当します。「介護型」の施設では、施設職員の配置基準が決まっており、24時間体制で、要介護度ごとに定められた定額制で介護を提供します。
一方、それら以外は「住宅型」です。ある程度身の回りのことを自分でできる高齢者が対象で、必要な介護サービスは自宅にいるときと同じように、介護事業者と別途契約して、契約した分の費用を支払って利用します。住宅型でも、重度の介護をできる設備が備わっているところもありますが、体制の整っていない施設では、「終の棲家」とはなりにくく、介護の必要度合いが進むと退去を促されるケースがあります。
自分だけ元気だと馴染みにくい
身の回りのことをしっかりできる親が「介護型」に入居するケースもあります。その際、「自分だけが元気で、雰囲気に馴染めない」「友達ができない」「自由がない」など大きな不満につながることも少なくありません。
「住宅型」は、親が自由に生活できますし、自分のペースで散歩や買い物に行けます。しかし、「介護型」は、安全確保のため、自由に外出したり、行動したりするのが難しい場合があります。たとえ、１人で歩けても、散歩や買い物に出かけることを制限されるケースが珍しくありません。
この場合、
- 自分だけが元気で、周りの人に馴染めない
- 友達ができない
- 自由がない
など、不満を感じてしまうこともあります。
ミスマッチとならないように、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・ケアハウスを検討するときには、「特定施設」の指定有無については必ず確認しましょう。
「看取りはできますか？」と聞いてみる
親がその施設で最期まで過ごせるのか、それは「看取り」ができるかどうかがポイントです。看取りまで行う施設では、医師による診断（医学的に回復の見込みがないという判断）がなされると、「看取り指針」に従い「ターミナルケアプラン（看取り介護計画書）」が作成されます。家族にも連絡が来て、協力し合って、本人の尊厳を大切にしつつそのときを迎えます。
施設見学の際に、施設長に「看取りはできますか？」と聞いてみましょう。「できます」と言われたら、実績などについても聞いてみてください。
看取りをするためには、ある程度医療体制が整っていないと難しい面があります。住宅型だけでなく、介護型でも、24時間体制で看護師を配置しているところは多くありません。もし、親が病気になって、継続的な医療処置が必要になった場合、医療体制が整っていない施設では、退去しなければいけなくなる可能性があります。
「こんなはずでは……」とならないように、事前に確認することはとても大切なのです。
