主治医から提案してもらう
高齢の親に施設入居を勧めても「嫌だ!最期までこの家で暮らす」と拒否されることがあります。
耳を貸してくれない場合は、主治医やケアマネジャーともよく相談しましょう。子が「在宅は限界」と思う場合でも、もしかすると専門家の視点からは「まだ、在宅で大丈夫」という可能性はあります。その場合、どのように対策すれば、安心・安全に自宅での生活を継続できるかについてしっかり話し合いたいものです。
医師やケアマネジャーが「在宅は困難」と判断する場合は、施設介護に移行すべきタイミングです。親は子の言葉に耳を貸さなくても、医師の言うことなら聞く傾向があります。医師から親に施設入居について提案してもらうと、「先生がそう言うなら仕方がない」と受け入れるケースもあります。
宿泊することに慣れてもらう
「もう少し在宅で様子を見よう」ということになったら、ケアプランにショートステイを入れてもらえないか、ケアマネジャーに聞いてみましょう。月に2~3泊から始めて、徐々にショートステイの頻度や日数を増やし、最終的に入居した方がいました。親が施設に泊まることに少しずつ慣れていったのでしょう。
介護保険で利用できる「ショートステイ」
●短期入所生活介護
特別養護老人ホームなどに短期間、宿泊して、日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを利用する。
●短期入所療養介護
医療機関や老人保健施設などに短期間、宿泊して、日常生活上の世話や、医療、看護、機能訓練などのサービスを利用する。
●短期利用特定施設入居者生活介護
特定施設に短期間、宿泊して、日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを利用する。
それぞれ介護保険を利用しますが、居住費や食事代などは別途かかります。また、親の自宅から近い有料老人ホームと入居契約し、「心配だから、夜だけは施設に泊まって」とお願いした方もいました。その親は施設に泊まり、朝起きたら自宅に戻って日中を過ごしていましたが、心身の衰えと並行するように、施設で過ごす時間が長くなりました。
退院と同時に施設入居が多い
けがや病気などで入院し、退院のタイミングで施設入居の話を進めた、という声もよく聞きます。体力が弱っているときは、親が譲歩しやすいタイミングなのです。すぐに施設を見つけるのは大変なので、日頃から情報収集や見学をして、施設の目途を立てておくことが必要だと思います。
親の抵抗が激しいケースでは、「『入院しよう』、『少しの間だけ』とウソをついて施設に入れた」という人もいます。ウソをつくと、その後の関係が崩れるのでおすすめできる方法ではありませんが、仕方がないケースもあるかもしれません。例えウソをついてしまっても、安心してすごせる居場所に連れて行かれたのですからご自身を責めないでください。