いくらかかるかではなく「いくらかけるか」
介護費用はいくらかかるのか? いくらあれば足りるのか? 多くの方が知りたいことだと思います。けれども、介護費用は一概にいくらとは言えません。
介護保険制度を使えば、所得に応じて1割または2割、3割負担でサービスを利用できます。それだけを考えても、3倍の開きがあります。それに、介護サービスの利用の仕方は、人それぞれです。「この状態だと、これだけ使わなければいけない」と決まっているわけではなく、控えめに利用したい人もいれば、毎日長時間にわたって利用したい人もいるかもしれません。さらに言えば、施設に入居する場合も、施設ごとにかかる費用には大きな差があります。
つまり、介護の費用は、「いくらかかるか」ではなく、「いくらかけるか」「いくらかけられるか」を考え、その範囲でやっていくという視点が大切なのです。
親の資産状況を要確認
介護に「いくらかけられるか」を考えるためには、その資金となる親本人の経済状況を知ることが不可欠です。例えば、
- 預貯金はどのくらいあるのか?
- 月々の年金はいくらもらっているのか?
- 株式や投資信託などを保有しているのか?
- 民間医療保険・生命保険に加入しているのか?保険証券の保管場所はどこか?
- 不動産は所有しているのか?
- ローンや借金は残っているのか?
- 住民税は課税されているのか、非課税なのか?
特に別居している場合は、「親のお金のことはさっぱりわからない」という人が圧倒的に多いように思います。しかし、親の経済状況が分からなければ、適切な介護プランを立てることはできません。
また、親の世帯が住民税課税か非課税かによっても、医療費や介護費の負担上限額に大きな違いが生じるので、確認必須だといえるでしょう。
介護のお金については、こちらもチェックしてみてください。
親の懐事情を上手に聞く方法
とはいえ、「親子といってもお金のことは聞きにくい」ものです。唐突に聞こうものなら、「財産を狙っているのか!」と怒鳴られる可能性もあります。お金の話ができるのは、普段から親子の対話ができていてこそです。親と良好な関係を築き、日々のコミュニケーションを心がけましょう。
例えば、一方的に聞くのではなく、自分自身のことから話すことで、親の警戒心を解くことができる可能性があります。エンディングノートを入手して、一緒に書いてみるのもよいかもしれません。資産状況に関して、もし月々の収入などを開示したくないなら、加入している民間保険の内容を伝えるところから始めてみてはどうでしょう。「私は、入院したら1日1万円出るんだけれど、お母さん(お父さん)は何か加入している?」という具合です。
親は、自身がどのような民間保険に入っているかよくわかっていないケースも多いので、この問いかけは親自身の確認にもつながります。保険証券を見せてもらう機会に、少しずつお金全般の話に広げていくのが良いでしょう。
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