メモアイコン

介護資金

「同居」している親の医療費・介護費が高すぎる!「世帯分離」で負担を軽減できる?

カイゴさん

介護費用をなるべく抑えたい……そう考える方は多いでしょう。介護費用の負担は世帯収入によって変わってきますが、もし親世帯と子世帯の生計が別なら、住民票の世帯を分けることで介護費用の負担を軽減できる場合があります。そのメリットとデメリットを整理してみました。

解説:介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子 先生

現役世代の子と同じ世帯だと「上限額」が高くなる

親の介護費用を抑えたいと考える方は多いですが、実は世帯の収入によって負担が変わってくることをご存知ですか?
高額介護サービス費や健康保険・介護保険の保険料などもそうですし、医療費の上限額や入院した際の食事代などにも影響します。

年金生活を送る方は、所得の低さによって住民税が非課税となっているケースが少なくありません。住民税が非課税の場合、様々なメリットがありますが、その恩恵を受けられるのは、「世帯全員が住民税非課税」の場合に限られます。現役世代の子と同じ世帯だと、親だけが住民税非課税でも、その恩恵を受けられないのです。

もし同じ屋根の下に暮らしていても、住民税課税の子の世帯と住民税非課税の親の世帯を分けた場合、親世帯は住民税非課税世帯となります。

では、親が住民税非課税世帯になると、本当に負担は抑えられるのでしょうか。一例ですが、70歳以上の親が入院した場合、負担額の差がこんなにも生じることになります。

70歳以上の入院費上限額こう変わる!(例)

スクロールできます
子と同一世帯の場合、一般課税世帯(年収156万~370万円)で、医療費の1カ月の上限額57,600円、入院中の1日の食事代1,470円になり、親が住民税非課税世帯になった場合、Ⅰ住民非課税世帯(年金80万円以下)は1カ月の上限額15,000円、入院中の1日の食事代330円、Ⅱ住民非課税世帯(Ⅰ以外)は1カ月の上限額24,600円、入院中の1日の食事代690円になります。

世帯を分けられる条件は生計が別であること

「世帯変更届」を役所に提出して、住民票上の現在の世帯から世帯員の一部を分離し、世帯を分ける手続きを「世帯分離」と呼びます。ただし、世帯を分けられるのは、親子それぞれで「独立した生計」を営んでいるケースに限られます。「介護費用を安くしたいから」は、世帯を分ける理由にはならないので注意しましょう。

一方、世帯分離にはデメリットもあります。「生計が別」になることで、勤務先から扶養手当の支給を受けられなくなるかもしれません。75歳未満の親の場合、健康保険の扶養もはずれることになれば、親が独自に国民健康保険料を支払わなければならなくなる可能性があります(75歳以上の場合は、後期高齢者医療保険に移行するので保険料の支払いは元々子とは別に発生)。世帯分離をする前に、勤務先にも事前の確認が必要です。

太田差惠子先生

解説:介護・暮らしジャーナリスト

太田差惠子 先生

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「高齢者施設」などについて、様々なメディアを通して情報を発信する。AFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(翔泳社)など著書多数。

ウェルビオでは、介護予防や健康維持のお悩みに対するアドバイスを行っています。
わからないことや不安なことがあったときは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

WHAT’S KAIGO ?

介護って
どうすればいいの?

介護の悩みは人それぞれ。だから、今のあなたに必要な情報だけをまとめました。大丈夫。わたしがあなたを支えます。