「好き勝手に使っている」との濡れ衣に落胆と怒り
親の認知症が進んだり、体調が悪くなったりすると、子が親のお金の管理をするケースが多くなります。財布だけでなく、親のキャッシュカードを預かって金融機関の口座から出金をすることもあるでしょう。
通常、最も親の身近にいる子が行うようになります。ひとりっ子の場合はそれでいいのですが、子が複数いる場合は注意が必要です。
こんな人がいました。ひとり暮らしの母親の認知症が進み、長女が母親のお金の管理を行うようになりました。しかし、1年ほど経過したころ、次女に当たる妹から「お姉ちゃん、お母さんのお金を好き勝手に使っているでしょう。お姉ちゃんの洋服も、お母さんのお金で買っているんでしょ」と濡れ衣を着せられてしまったのです。長女は母親のために一生懸命お金を管理していたのに、誤解されてしまい、大喧嘩となってしまいました。
「介護家計簿」を付けて家族で共有
このように、お金のことで家族と揉めてしまうと大きなストレスとなり、関係が悪化してしまうこともあります。きょうだいだけでなく、親本人から「私のお金をくすねているだろう」と言われて苦しんでいる人もいました。
お金に関するトラブルを防ぐためには、早い段階で、親本人ときょうだいで家族会議を開き、誰が今後のお金を管理するかを決めたいものです。管理を任された方は、仕事の経費と同じように、何に使ったかを記録に残しておきましょう。レシートや領収書も必要です。筆者は「介護家計簿」と呼んでいますが、家計簿アプリをきょうだいと共有するのも良い方法です。


もし、自分の財布から立て替えたお金があれば、そちらも忘れずに記録に残しましょう。実家の修繕費を立て替えていた方が、記録を残していたことによって、「親が亡くなった後に、相続で清算できた」というケースもあります。
多少面倒ではありますが、後から誤解されるのを避けるためにもぜひ実行しましょう。