一時的な転院・入居で"これから"を考える
多くの親は、退院後に住み慣れた自宅に戻ることを望みます。親の人生ですから、できる限り希望をかなえる方向でマネジメントしたいところですが、介護が必要な場合、難しいケースもあるでしょう。
両親が2人暮らしの場合、元気な方の親にかかる介護の負担は大きなものとなりがちです。共倒れのリスクがあるなら、自宅に戻すことは難しいかもしれません。
かといって、子にも自分の生活があります。日々仕事や育児などで多忙に過ごしているなか、親の介護を行うことはたやすいことではありません。
結論が出せない場合は、急がずに、一旦時間を置くことも大事です。地域包括ケア病棟や介護老人保健施設へ入院・入居すれば、もしかすると、その間に親の心身の状況は好転し、自宅に戻れるかもしれません。戻ることが難しかったとしても、その間に施設を探すことができるでしょう。
高齢者施設への入居については、こちらもチェックしてみてください。
施設入居=介護の終了ではない
「施設に入居させるのは、親不孝なんじゃないか……」
そう感じる方もいるかもしれません。
けれども、高齢者施設は決して悪いところではありません。施設ではレクリエーションやリハビリなども行いますし、自宅で閉じこもっているよりもいいとも考えられます。それに、プロによる食事やお風呂、トイレの介助は本人にとって心地よいものです。実際に、「将来、排せつなどの介護が必要な状態になったとき、誰に介護を頼みたいか」を問うた調査では、半数近くの方が「ヘルパーなど介護サービスの人」と答えています。


出典:「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」内閣府
それに、高齢者施設に入居しても家族の役割は終わりません。同居していた場合は別居介護の始まりです。別居だった場合は、通う場所が実家から高齢者施設に変わるだけだと考えてはどうでしょう。
高齢者施設に入居しても、可能な範囲で面会に行き、親の様子を確認しましょう。また、親の意思決定をサポートする「キーパーソン」などの役割もありますし、入居しても病気になったりケガをしたりすることもあり、結構な頻度で施設から呼び出しがあるでしょう。
キーパーソンについては、こちらもチェックしてみてください。
つまり、高齢者施設に入居しても、介護が終了するわけでなく、介護の形が変わるだけ。決して、親不孝などではないのです。