介護費用は本人のお金を使うのが基本
介護という行為は親が受け身となり、子が働きかける側になるため、かかる費用も「子が負担する」という発想になりやすいのだと思います。けれども、介護の目的は「親の自立した生活を応援すること」。そこにかかる費用は、本人のお金をあてるのは当然なのではないでしょうか。
本人の年金収入などが少ない場合は、医療費や介護費を軽減できる制度を利用できる場合があります。親への金銭的な支援を考える前に、お得な制度についての情報収集を行いましょう。
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子の6割前後が「負担している」
介護の講演で「介護費用は本人のお金で」と話すと、必ずと言っていいほど「安心しました」という声が返ってきます。親の介護費用に親本人のお金をあてて罪悪感を抱いている子は少なくないようです。
一方で、「子が支払うことが当たり前」と思い込んでいる方もいるように思います。働く子に対し、親の介護費用の負担有無を聞いた調査があります。働き方にもよりますが、「負担していない」のは4割前後。言い換えると、6割前後の方は何がしかのお金を負担していると答えています。


出典:令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握 のための調査研究事業 報告書 労働者アンケート調査結果(厚生労働省委託事業,三菱UFJ&コンサルティング)
支援する場合は自身の生活設計を考えてから
介護費用を支援することを否定するものではありません。ただし、支援する場合は、自分の生活設計についても考えておく必要があります。
人生100年時代です。親が100歳超生きる可能性があるように、子も100歳超生きる可能性があります。将来、自分に介護が必要になったら、子に介護費用を出してもらうでしょうか? 子どものいない方は、甥や姪に出してもらうのでしょうか? ほとんどの方は、「とんでもない、自分の介護費用は自分で出す」と考えているはずです。自分だけが、親の分と自分の分と2人分、3人分と捻出するのは、厳しいものがあります。親の介護にお金を使い果たし、自分の分が残らないと次の世代に負担を負わせることになります。
自分の生活設計と親の介護費用について、計算方法がわからないときは、専門の知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談するのもいいでしょう。あまり身構えず、気軽に相談してしまって大丈夫ですよ。