著者
伊藤 紀幸(いとう のりゆき)
金融畑を歩むが、障がいのある息子を授かり、自分が本当にやりたいことは何かを見つめ直して脱サラ。障がい者の働く場創出と工賃アップを目指して、構想10年にして全国初の福祉のチョコレート工房を2012年11月にオープン。JR東海の駅や有名百貨店・有名ホテル等で展開。各方面からその起業ストーリーの共感を得て躍進を続けるソーシャルビジネスの経営者。
【要点1】
著者は、障がいを持つ子どもが生まれたことをきっかけに、障がい者が働くにあたって直面する厳しい現実を知った。そして彼らに雇用の場を提供するとともに、工賃アップを実現する会社を創ろうと考えた。
【要点2】
ショコラボには、障がい者の就労の未来創造を支援していくという側面と、純粋なチョコレートメーカーとしての側面がある。それにより、社会全体に夢と笑顔を届けるというストーリーを描いている。
レビュー
ある強烈な、自分の価値観を変える出来事に遭遇し、その出来事をきっかけに自分のやりたいことが明確になっていく。いざそこに向かって飛び立ったら、あとはぶれずに一直線に行動する――本書の著者・伊藤紀幸氏の起業ストーリーを一言で紹介すると、このような表現になる。
価値観を変える出来事とは、障がいを持った子どもの誕生である。その出来事をきっかけに、自身の子どもを含む障がい者の方々がよりよく働ける環境を創り出そうとして立ち上げたのが、本書の舞台であり、チョコレートを作る工房である「ショコラボ」だ。
チョコレート工房を立ち上げたといっても、そうした仕事の経験があったわけではない。会社を経営した経験はあったものの、それ以外はまさにゼロからのスタートだ。葛藤や試行錯誤、苦闘を経てショコラボが形になっていき、自分の初志を実現していく。歩みはまだ道半ばだと著者は言うが、本書ではその奮闘の歴史を、リアリティ満載で感じられるようになっている。
ショコラボは、今では大手デパートを含めて順調に販路を広げている。しかし一見順調に見えても、何かを実現しようとすれば、困難が待ち構えているものだ。最も大事なのは、困難でも歩みを止めないこと。するとヒントや助け舟が、色んな所からやってくる――そんなことを感じた。心の底から強い思いを持って「何かを実現したい」人、またそういう生き方を目ざしたい人に、ぜひお読みいただきたい一冊だ。
伊藤 紀幸(いとう のりゆき)
金融畑を歩むが、障がいのある息子を授かり、自分が本当にやりたいことは何かを見つめ直して脱サラ。障がい者の働く場創出と工賃アップを目指して、構想10年にして全国初の福祉のチョコレート工房を2012年11月にオープン。JR東海の駅や有名百貨店・有名ホテル等で展開。各方面からその起業ストーリーの共感を得て躍進を続けるソーシャルビジネスの経営者。
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