レビュー
私たちホモ・サピエンスがどのようにして食物連鎖の頂点に立ち、そして文明を築いたのかを歴史的に解明するというきわめて野心的な試み――それが本書である。
本書を手にとってまず驚かされるのが、その読みやすさ・わかりやすさであろう。人類発展の歴史という大きなテーマを扱っているにもかかわらず、本書の要点は「歴史の道筋は、3つの重要な革命が決めた」と書きあらわすことができる。だがそれは、本書の中身が薄いことをけっして意味しない。むしろ、歴史という大海に飛びこむための、たしかな「軸」となる視点を私たちに与えてくれている。
またこれは重要なことだが、ひとつの読み物として単純におもしろい。現生人類とよく似た動物がはじめて地上にあらわれたのは、およそ250万年前のことだった。そして10万年前の地球には、少なくとも6つの異なるヒトの種が存在していた。しかし、現代まで唯一生き延びた人類種はホモ・サピエンス、すなわち私たちだけだ。つい最近までサバンナの負け組だった私たちの種が、なぜ生態系に大惨事をおよぼすほどの影響力を持つようになったのか。本書に描かれているのは、スリルに満ちあふれた、とある「物語」でもある。
上巻にあたる本書では、歴史の道筋を変えた3つの革命のうち、主に2つが紹介されている。あなたも本書を船頭として、歴史という冒険の海を渡ってみてはいかがだろうか。
※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。