著者
広木 大地(ひろき だいち)
株式会社レクター取締役。
1983年生まれ。筑波大学大学院を卒業後、2008年に新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社のアーキテクトとして、技術戦略から組織構築などに携わる。同社メディア開発部長、開発部部長、サービス本部長執行役員を務めた後、2015年退社。
現在は、株式会社レクターを創業し、技術と経営をつなぐ技術組織のアドバイザリーとして、多数の会社の経営支援を行っている。
【要点1】
エンジニアリングで重要なのは、「どうしたら効率よく不確実性を減らしていけるか」という考え方である。ソフトウェア開発を成功させるには、「思考のリファクタリング」が必要となる。
【要点2】
複雑な問題を簡単な問題に変換するには、「論理的思考の盲点」「経験主義と仮説思考」「システム思考」という3つの考え方が役に立つ。
【要点3】
アジャイルとは、「チームが環境に適応して、不確実性を最も効率よく削減できている理想状態」である。こうした理想状態へと前進している集団を、「アジャイルなチーム」と呼ぶ。
レビュー
プロジェクトの理不尽が積もり積もった挙句、スケジュール通りに終わらない。上司あるいは部下とのコミュニケーションがうまくいかない――。ソフトウェア開発に携わるエンジニア、開発チームを率いる責任者なら、似た経験がおありではないだろうか。そうした課題をもつ人に希望を与えてくれるのが、第6回ブクログ大賞ビジネス書部門大賞の受賞作でもある『エンジニアリング組織論への招待』だ。
本書は、「不確実性に向き合う」というたった1つの原則から、エンジニアリングの課題解決を体系化していった組織論である。人間は本能的に「わからないもの」を避けようとする。それをどのように克服し、自分やメンバーとの人間関係、チームのマネジメントに活かせばいいのか。経営者とエンジニアの認識のギャップをどう埋めていくのか。「アジャイルなチーム」をめざすには? 技術的負債を解消するには? 著者は経営学や心理学、ソフトウェア工学などの知見も援用しながら、こうした大事な問いへの対処法を真摯に提示していく。
「問題解決をめざすなら、コードだけでなく、人々の思考・組織・ビジネスの『構造』こそリファクタリングしなければいけない」。著者の主張には目を見開かされ、要約者は「こんなに画期的な組織論があったのか!」と夢中になった。
エンジニア、マネージャーいずれの立場でも、組織設計・運営、開発に活かせる英知が詰まった一冊だ。生産性の高いエンジニアリング組織への道筋が、いま明らかに。
広木 大地(ひろき だいち)
株式会社レクター取締役。
1983年生まれ。筑波大学大学院を卒業後、2008年に新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社のアーキテクトとして、技術戦略から組織構築などに携わる。同社メディア開発部長、開発部部長、サービス本部長執行役員を務めた後、2015年退社。
現在は、株式会社レクターを創業し、技術と経営をつなぐ技術組織のアドバイザリーとして、多数の会社の経営支援を行っている。
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