著者
工藤 勇一 (くどう ゆういち)
1960年山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長等を経て、2014年から千代田区立麹町中学校長。教育再生実行会議委員、経済産業省「未来の教室」とEd Tech研究会委員等、公職を歴任。本書が初の著作となる。
【要点1】
制度や仕組みは、時代とともに変えていく必要がある。100年続いてきた仕組みであっても、目的を達成するために最適でないならば、改善・改革していくべきである。
【要点2】
改革を行うにあたり、反発や抵抗が起きるのは当然だ。人々の間に意見の相違があっても、対話を通して合意形成を図るべきである。その際は最上位の目標に立ち戻ると、解決の道筋が見えてくる。
【要点3】
学校は、子どもたちが「社会の中でよりよく生きていける」ように学ぶ場所である。教員は「生徒たちが主体的に学ぼうとする仕組み」を整えなければならない。
レビュー
「何も考えずに『当たり前』ばかりをやっている学校教育が、自分の頭で考えずに、何でも人のせいにする大人をつくる」という帯の言葉に、ドキッとする方も多いのではないだろうか。
NHK「おはよう日本」やTBSラジオ、新聞各紙で紹介され、教育界の改革者として注目を浴びているのが、本書の著者である千代田区立麹町中学校・工藤勇一校長だ。本書は工藤氏がこれまで取り組んできた、学校における諸制度の改革を取り上げたものである。服装や頭髪の指導は行わない。一律の宿題を出さない。中間・期末テストや固定担任制の廃止。古くから「当たり前」のものとして考えられてきたさまざまな仕組みを、次々と変えていくエピソードは痛快だ。
こうした改革の裏には、「目的と手段を取り違えない」、「上位目標を忘れない」、「自律のための教育を大切にする」という工藤氏の理念がある。学校が担うべき本来の役割とは何か――工藤氏は生粋の教育者として、この問いを常に考え続けてきたという。そして「子どもたちが社会の中でよりよく生きていけるようにする」ことが学校の本質的な役割だと思い至り、その実現のため学校を「リ・デザイン」するべく、制度改革を推進してきたのである。
経営環境やビジネス構造が急変する現代においては、ビジネスパーソンも慣例を打ち破り、ビジネスプロセスの再設計を迫られる場面が多いはずだ。教育に携わる方だけでなく、「何かを変えたい」という思いをもつすべての方に読んでいただきたい一冊である。
工藤 勇一 (くどう ゆういち)
1960年山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長等を経て、2014年から千代田区立麹町中学校長。教育再生実行会議委員、経済産業省「未来の教室」とEd Tech研究会委員等、公職を歴任。本書が初の著作となる。
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