著者
矢部 宏治(やべ こうじ)
1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(講談社+α文庫)、『天皇メッセージ』(小学館)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)がある
【要点1】
日本は、近代国家にはまれに見るほど他国からの干渉を許し、軍事的な主権を放棄した国である。
【要点2】
現在の日本の政治的な混乱は、過去の政治家たちが「密約」の役割や内容を正確に理解しないまま調印を行い、挙句はそれを破棄したり隠蔽したりしてきたことにある。その結果、アメリカとの外交交渉では相手の言いなりになるしかない状態が続いている。
【要点3】
新安保条約は、日米の対等な関係の象徴として位置づけられているが、実質的には旧安保条約と同じ内容である。
レビュー
現在の日本とアメリカの関係の本質は何か。それは、日本独立直前に起こった「米軍への主権なき軍事支援体制」、いわゆる「朝鮮戦争レジーム」にある。独立交渉において、米軍から圧力をかけられて結んだのが、旧安保条約と行政協定であった。
著者の矢部宏治氏は、10万部のベストセラーとなった前著『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』で、この体制がなぜ始まったのかを解説した。戦後日本は、朝鮮戦争がまだ正式に終わっていないことを法的根拠として、米軍への軍事支援を継続する「準戦時体制」が続いていたのだ。本来であれば、日本が自力で解決すべき課題であった。
2018年3月、朝鮮半島で突如として南北の劇的な緊張緩和が始まり、6月には米朝首脳会談が実現した。いつ「終戦宣言」が出されてもおかしくない。これは日本にとっては願ってもないチャンスであり、この歴史の流れに合流すればよいだけだった。にもかかわらず、日本は「分断された民族の融和」と「戦争の回避」という、祝福すべき歴史の流れに最後まで抵抗した唯一の国となってしまっている。
本書の目的は、なぜ日本でこのような異様な体制が続いているのかという謎を解くことである。このままでは朝鮮戦争が終わっても、日本の中にだけ「朝鮮戦争レジーム」がアメリカとの二国間関係として半永久的に残る可能性すらある。
「ポスト戦後日本」を生きる私たちが、混迷の中から平和な夜を生み出すために知るべき内容が今ここに。
矢部 宏治(やべ こうじ)
1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(講談社+α文庫)、『天皇メッセージ』(小学館)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)がある
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