著者
白央 篤司 (はくおう あつし)
フードライター。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経てフリーに。日本の郷土食やローカルフードをメインテーマに執筆。著書に「都道府県をひとつのおにぎりで表すとしたら?」をコンセプトにした写真絵本『にっぽんのおにぎり』(理論社)、各地で愛され続ける飯・麺・汁ものをレシピつきで紹介した『ジャパめし。』(集英社)などがある。
【要点1】
料理は向き不向きがあり、料理ができないこと自体は恥ずべきことではない。一方で忙しい現代人にとって、経済的かつ健康的に食べるスキル=「自炊力」の取得は重要である。
【要点2】
自炊力は料理をする能力だけでなく、栄養バランスを考えて食材を足したり、買い物をしたりする能力も含まれている。コンビニで食事を買うとしても、そこに野菜を足したり、塩分の少ないものを選んだりすることが、自炊力を高める第一歩だ。
【要点3】
料理は場数である。自分のできる範囲を少しずつ広げながら料理を楽しみつつ、時には新しいことに挑戦することが、自炊力を向上させる。
レビュー
「家事の中で料理が最も苦手」という人は、おそらく少なくないだろう。外食中心の生活で、料理はまったくしないという人も多いはずだ。あるいは仕事や育児の忙しさから、できるだけ食事には時間をかけたくないという人もいるに違いない。しかしずっと誰かに料理を作ってもらえて、なおかつ最低限の栄養バランスがある食事を摂れるというのは、なかなか考えにくいものである。
本書はフリーランスのライターとして食の記事を書き続けてきた著者が、「料理の習慣はないが、食に関して無関心というわけにはいかない」という読者に対し、より簡単な自炊の取り組み方を紹介するものだ。著者は「料理力より自炊力を」というテーマを掲げ、料理の作り方そのものだけではなく、栄養に関する考え方や買い物の仕方を含めた、食生活改善のための方法を解説している。「自炊力」とは、献立づくりから買い物、料理などのさまざまな能力が組み合わさった総合力というのが著者の考えだ。
いままで料理に苦手意識を持っていた人や、料理本を買ってそのままになっている人にとって、取り入れやすい情報が満載の一冊だ。また著者が実際に自炊するときのレシピも、カラー写真付きで掲載されている。
生きるために食事は欠かせない。だから「いまの食生活をなんとかしたい」というのはきわめて自然な考えだ。料理や自炊が苦手でも、まったく気負う必要はない。自炊について迷える読者に、自らの食生活を見直す最初のきっかけとして、ぜひ本書をおすすめしたい。
白央 篤司 (はくおう あつし)
フードライター。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経てフリーに。日本の郷土食やローカルフードをメインテーマに執筆。著書に「都道府県をひとつのおにぎりで表すとしたら?」をコンセプトにした写真絵本『にっぽんのおにぎり』(理論社)、各地で愛され続ける飯・麺・汁ものをレシピつきで紹介した『ジャパめし。』(集英社)などがある。
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