著者
日経トップリーダー
企業経営者向けの月刊誌(日経BP社刊行)。1984年「日経ベンチャー」として創刊し、2009年「日経トップリーダー」に誌名変更。次世代の経営者を育てるべく、名経営者の独自の発想や高収益企業を支えるユニークな仕組みなどを取材、分かりやすく解説する。本書の題材となった「破綻の真相」は、1992年「倒産の研究」として始まり、四半世紀以上続く人気連載。
【要点1】
他社の成功事例をそのまま自社に当てはめても、同じように成功するとは限らない。再現性の高い失敗の定石を学ぶことによって、自社の経営に役立てることが重要だ。
【要点2】
倒産を迎えた企業には、経営状況の把握やリスク対策の甘さ、変化への対応力の低さといった共通のパターンが見られる。
【要点3】
企業の明暗を分けるのは、変化に対応するスピード感のわずかな差だといえる。
レビュー
「あの企業は上場を果たし、新店舗を続々出している」。そう聞くと、経営も順風満帆だと思う方もいるにちがいない。しかし、本書を読むと、内実は必ずしもそうとは限らないことがわかる。かつては業界をリードしていても、破綻した企業も少なくない。
本書は、中堅・中小企業23社の破綻の事例を通じて、経営における「失敗の定石」を明らかにしていく。私たちは普段、成功例を目にすることが多いが、成功は再現性が低い。他社の成功事例を自社で直接的に役立てることは難しいものだ。事例からヒントを得て、自社の状況に合わせてチューニングしなければならない。それに対して、失敗は再現性が高い。失敗とは究極的にはひとつの判断ミスだ。それによってヒト・カネ・モノのバランスが著しく崩れると、破綻を招く。その原因を突き詰めれば、どの判断が失敗の原因だったかという転換点を特定できる。
人口減少が本格化する今、企業間での顧客の奪い合いは激化していく。経営者は変化に対応すべく、あらゆる経営手法を見直す必要に迫られることだろう。しかし、経営の方向転換にはリスクが伴う。リスク軽減のためにも、他社の失敗事例を学ぶことはますます重要となるだろう。
あとから客観的に見れば、いずれの倒産の理由も明白に見えるかもしれない。しかし、自分が渦中にいるときに、本当に冷静な判断ができるだろうか。企業の経営に関わる方には、自社の状況を振り返りながら本書を熟読することをおすすめしたい。
日経トップリーダー
企業経営者向けの月刊誌(日経BP社刊行)。1984年「日経ベンチャー」として創刊し、2009年「日経トップリーダー」に誌名変更。次世代の経営者を育てるべく、名経営者の独自の発想や高収益企業を支えるユニークな仕組みなどを取材、分かりやすく解説する。本書の題材となった「破綻の真相」は、1992年「倒産の研究」として始まり、四半世紀以上続く人気連載。
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