著者
スティーヴン・プール (Steven Poole)
英国のジャーナリスト。≪ガーディアン≫≪ウォールストリート・ジャーナル≫≪アトランティック≫≪タイムズ文芸付録≫などに言葉や文化・社会に関する記事や書籍を寄稿する。著書に本書のほか、Unspeak, You Aren’t What You Eat, Trigger Happy 2.0,Who Touched Base in My Thought Shower?など。
【要点1】
現在の問題に対する答えは過去にある。一度捨てられたアイデアでも、時間とともに正しさが証明されたり、別の用途に使われて新たな価値が発見されたりすることもある。
【要点2】
一見新しいアイデアでも、思いのほか古いルーツがあることも少なくない。また間違ったアイデアでも、間違い方によっては役に立つ場合もある。
【要点3】
社会の価値観は驚くほど速く変化していく。常にその社会での「正しさ」を「再考」し続けることが、革新につながる。
レビュー
「そのアイデアは過去にすでにあったものだ」と言われたら、あなたはどう思うだろう。ネガティブな意味で捉える人がほとんどではないだろうか。
近年は「独創性」がもてはやされている。だが実はそうした「独創性」や「創造性」は、過去にすでに考えられたアイデアから生まれるのだという。本書は「ほとんどのアイデアは過去にルーツがある」としたうえで、そうした過去のアイデアを「再考」することの必要性を説くものだ。電子タバコや電気自動車といったものでさえ、昔からあったアイデアというから驚きである。
さまざまな形でよみがえったアイデアを、著者は歴史を縦横無尽に駆け巡りながら紹介する。21世紀に軍事作戦で使われる古典戦法、別の用途に転用することで起死回生を果たした過去の技術はもちろんのこと、現代によみがえった天動説をめぐる考察なども興味深い。さらにはバイオテクノロジーの発達とともによみがえる優生学など、現代の諸問題も議論として取り上げられている。
人々の生活や文化だけでなく、「正しさ」も時代とともに変化するものだ。過去の成功や過ちを見続け、「再考」し続けることが、人類の進化には欠かせない。歴史の中には、思いもよらない先人たちのドラマチックな思索の物語が広がっている。アイデアに行き詰まっている人は、息抜きのつもりで手に取っていただきたい。きっと現状を打破するヒントが得られるはずである。
スティーヴン・プール (Steven Poole)
英国のジャーナリスト。≪ガーディアン≫≪ウォールストリート・ジャーナル≫≪アトランティック≫≪タイムズ文芸付録≫などに言葉や文化・社会に関する記事や書籍を寄稿する。著書に本書のほか、Unspeak, You Aren’t What You Eat, Trigger Happy 2.0,Who Touched Base in My Thought Shower?など。
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