レビュー
あなたは最近、商品やサービスの購入、問い合わせなどで「神対応」を受けて驚いた経験がないだろうか。そして、そうした企業やブランドへの愛着がグッと高まり、ファンになっていく――。そんなストーリーを促すキーワードが、CX、カスタマー・エクスペリエンスである。
CXは「顧客経験価値」「顧客体験価値」と訳されるが、いわば「おもてなし」に近い考え方といえる。本書では、CX戦略の導入の進め方やマネジメントするための方法(人材、権限、予算、プロセス、評価など)を多くの先駆事例や著者の実体験を踏まえて整理し、読者の実践を促していく。
米国の小売業界は、アマゾン・ドット・コムなどネット通販の台頭により、厳しい状況にある。しかし、そのような環境下でも店舗数を拡大し、成長し続けている企業がいることも事実だ。これらの企業が共通して掲げる中核的な戦略、それがCXなのである。CXでは感情的な価値を訴求する。つまり、顧客を感情的に満足させることをめざす。これにより、顧客ロイヤルティが高まり、再購入・継続・接触回数などが高まって、収益向上につながっていく。これが、CXが企業収益に貢献する仕組みだ。
これからの時代、全ビジネスがCX戦略とは無縁でいられない。CX戦略の導入・運営に必須の視点や手順を学ぶのに最適なガイドブックである。ぜひ本書を手にとり、フルに活用していただきたい。