レビュー
仕事への熟達やヒットを生む創造力の強さが世界的にも証明されている「最強のチーム」といえば、グーグルやピクサーなどの組織が連想される。しかし、いくら強いリーダーや優秀なメンバーがそろっていても、すべての組織が優秀なチームになれるわけではない。では、チームづくりのカギはどこにあるのか。膨大なインタビューと科学によってその秘密を解明するのが本書である。
著者によれば、チーム力の原点は「日常の仕事での、ちょっとしたさりげない行動」にあるという。この驚くべき事実は、最強のチームの共通点を読み解くことで明らかになっていく。一見すると普通とも思えるような行動を習慣化することによって、チームの力は大きく変わっていくというのだ。
本書では、チーム力を鍛えるカギは、3つのスキルに集約される。「安全な環境」「弱さの開示」「共通の目標」だ。これらのスキルはなぜ重要で、具体的にはどのように行動すればよいのか。本書を読めば、その答えを得ることができる。
良いチームに最も必要なのは、強いリーダーシップや優秀な人材ではない。その事実は、読者に勇気を与えてくれるに違いない。本書を通して提案される行動は、シンプルでポジティブな人間観に基づいている。これらは知れば知るほど「普通」に思えるが、だからこそ誰でも、いつでも行うことができる。こうしたささいな行動によって強いチームが育まれるならば、一読の上、試してみる価値は大いにあるだろう。