著者
奥平 和行 (おくだいら かずゆき)
1999年、日本経済新聞社入社。東京本社編集局産業部(現企業報道部)に配属となり、商社、自動車、電機、通信などの業界を担当。2010~2014年には米シリコンバレー支局でITやスタートアップを取材した。2017年より編集委員。IT、自動車、スタートアップなどをカバーする。
【要点1】
山田進太郎を中心とする創業メンバーがめざすのは、「世界で使われるインターネットサービスを創る」というビジョンである。そこで生まれたのがメルカリだった。
【要点2】
メルカリが短期間でフリマアプリ市場のシェアをとれた要因は、使いやすいユーザーインターフェース、改善のスピードの速さ、そしてマーケティングの巧みさなどであった。
【要点3】
メルカリは、急成長のひずみを経験しながらも、テックカンパニーとしてのプレゼンスを高め、さらなる成長に向けた新たな挑戦を続けている。
レビュー
2018年6月に東証マザーズに上場したメルカリ。上場初日に時価総額7000億円を超えた、言わずと知れた日本発のユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上のベンチャー)だ。スマートフォン上で個人が物を売買するフリマアプリの市場を、わずか5年で築き、人々の生活を大きく変えつつある。メルカリが、これほど短期間で急成長を遂げ、後発にもかかわらずフリマアプリでトップにのし上がれたのはなぜなのか。その要因は、現会長兼CEOの山田進太郎氏を中心とする創業メンバーの、並々ならぬ情熱と挑戦の積み重ねに見出すことができる。
本書はメルカリの起業から上場に至るまでの5年間の軌跡と、数々の登場人物が織りなす人間模様を描き出した、貴重なノンフィクションである。著者は新聞記者としてシリコンバレーの変遷を見てきた人物だ。メルカリ内外の人への丁寧なインタビューを重ね、メルカリ創業の舞台裏を明らかにする。また、国内事業の足元が固まらないうちに、メルカリが海外をめざしてきた理由にも迫っている。
日本は長らくベンチャー不毛の地といわれてきた。そのため、メルカリの登場は国内外に大きなインパクトを与えた。虎視眈々と成功の機会を窺っている起業家にとって、本書は大きな刺激となるだろう。また、希代のスタートアップが、どのような軌跡をたどってきたのかを知るのに格好の一冊である。将来メルカリがさらなる成功を手にしたときに、歴史を振り返るうえでも役立つはずだ。
奥平 和行 (おくだいら かずゆき)
1999年、日本経済新聞社入社。東京本社編集局産業部(現企業報道部)に配属となり、商社、自動車、電機、通信などの業界を担当。2010~2014年には米シリコンバレー支局でITやスタートアップを取材した。2017年より編集委員。IT、自動車、スタートアップなどをカバーする。
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