著者
チェット・リチャーズ(Chet Richards)
航空機企業や専門的サービス企業のコンサルタント。OODAループの発案者である元アメリカ空軍大佐、故ジョン・ボイド(John Boyd)に長年師事し、親しい間柄であった。アメリカ空軍大学(US Air Force University)で講義を行い、ケネソー州立大学で教鞭を執っていた。ミシシッピ大学より博士号(数学)取得。
【要点1】
軍事戦略は「強いストレスと不確実性のなか、組織のメンバーが協調して意思決定を行う」ものであり、この考え方はビジネスにも転用できる。
【要点2】
数や物量に劣る組織が勝利を収めるためには、スピードを重視する「電撃戦」の考え方が有効だ。環境変化に即座に対応する機動力(アジリティ)が、競争優位の源泉となる。
【要点3】
OODAループは「観察(Observation)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decision)、行動(Act)」の学習ループで構成される。
【要点4】
OODAループを高速で回すためには、組織内の「相互信頼」が欠かせない。
レビュー
「PDCAサイクル」に代わる、新たな意思決定のフレームワークとして期待されている「OODA(ウーダ)ループ」。米海兵隊で採用され、現代戦において数多くの勝利に貢献したこの理論が、急激な環境の変化にさらされているビジネス界からいま注目を浴びている。
OODAループを提唱したのは、いまは亡き軍事戦略家ジョン・R・ボイドだ。「40秒のボイド」と呼ばれるほど凄腕のパイロットだったボイドは、空中戦闘において電光石火の勝利を重ねてきた経験をもとに、わずかな時間で意思決定を行う戦闘哲学を著した。そのひとつが本書で取り上げられている「OODAループ」というわけである。
まったく新しい理論のように思える「OODAループ」だが、日本のビジネスパーソンにとっては非常になじみ深いものかもしれない。その理由は、ボイドがこの理論の着想を得たヒントにある。東西冷戦の終結後、競争や対立の性質を明らかにするために彼が学んだのは、孫子の兵法、日本の剣の達人が記した戦術書、そしてトヨタ生産システムであったのだ。
組織に属するメンバーの相互信頼を醸成し、「暗黙の了解」によって瞬時の情勢判断と行動を可能にするOODAループは、「暗黙知の明文化」を是とする従来のビジネス理論とは真逆をいくものである。あなたがチームにおける意思決定スピードを速め、勝利する組織を育てたいと考えているならば、本書はきっと役に立つだろう。
チェット・リチャーズ(Chet Richards)
航空機企業や専門的サービス企業のコンサルタント。OODAループの発案者である元アメリカ空軍大佐、故ジョン・ボイド(John Boyd)に長年師事し、親しい間柄であった。アメリカ空軍大学(US Air Force University)で講義を行い、ケネソー州立大学で教鞭を執っていた。ミシシッピ大学より博士号(数学)取得。
シェアする