著者
村上世彰(むらかみ よしあき)
投資家。1959年大阪府生まれ。1983年、通産省(現・経産省)に入省。国家公務員としてコーポレート・ガバナンスの普及に従事する。独立後、1999年から2006年まで投資ファンドを運営。現在、シンガポール在住。著書に『生涯投資家』(文藝春秋)などがある。
【要点1】
お金は便利な「道具」である。お金には、「何かと交換できる」「価値をはかることができる」「貯めることができる」という3つの機能がある。
【要点2】
お金の使い方は、自立するため、したいことをするため、困ったときの防波堤にするため、人のために使うため、という4つを意識するべきだ。
【要点3】
貯蓄するだけではなく、うまく世の中に回していくことがお金を活かす秘訣である。
【要点4】
お金は貯めて増やすだけでは意味がない。増やしたお金を、社会を良くするため、人のために使ってこそ、真の幸せが得られる。
レビュー
投下資金を増やすメカニズムを、誰よりも理解しているお金のプロが真の投資家と言われる。2000年代に多くの人がテレビを通じて見たであろう、投資家として日本でも指折りの知名度を持つ著者が、お金について日本の子どもたちにあてたメッセージが本書である。ちょうど、『君たちはどう生きるか』のように、優しく語りかけるような文体で書かれていて読みやすい。
お金というと、欲の象徴のように語られがちである。一方で、お金は生きていくために必要なものであり、正しく向き合わなければ、お金が不足して逆にお金に振り回される人生になってしまう。お金は一人でポツンといるのが嫌いで、仲間のいるところに行きたがるから、増え始めると一気にドドッと集まってくるという著者の父の教えは、お金というものの本質を鋭く喝破している。その教えから影響を受けた著者は、お金を貯蓄するとき、投資するとき、大きな勝負をするとき、人のために使うときを分け、お金とのいい関係を作ることができたという。
スーパーに並ぶ「さんま」の価格が年によって違うことに着目して、需給と価格の関係を表現しているように、本書は子どもでも理解できるように丁寧に構成された一冊だ。ただその内容は、決して子ども向けにはとどまらない。家計を支える全ての人にとって、改めてお金に向き合う重要な機会となるだろう。お金の本質に切り込んだ本書は、自信を持って薦められる一冊だ。
※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。
村上世彰(むらかみ よしあき)
投資家。1959年大阪府生まれ。1983年、通産省(現・経産省)に入省。国家公務員としてコーポレート・ガバナンスの普及に従事する。独立後、1999年から2006年まで投資ファンドを運営。現在、シンガポール在住。著書に『生涯投資家』(文藝春秋)などがある。
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