著者
中原淳(なかはら じゅん)
立教大学経営学部教授。同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査、リーダーシップ研究所 副所長。1975年北海道生まれ。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・リーダーシップ開発について研究。
パーソル総合研究所(ぱーそるそうごうけんきゅうじょ)
パーソルグループの総合研究機関。2017年、中原淳とともに「希望の残業学」プロジェクトを立ち上げた。
【要点1】
長時間労働は、個人にも企業にもリスクをもたらす。
【要点2】
残業は仕事ができる人に「集中」し、暗黙の了解のもとに「感染」し、上司から部下へと「遺伝」していく。
【要点3】
残業削減施策には、「外科手術」的な方法と「漢方治療」的な方法がある。「外科手術」を成功させるには、残業を「見える化」すること、会社としてのコミットメントを高めること、導入後1カ月の「死の谷」を乗り越えること、効果を「見える化」して残業代を「還元」することがポイントだ。
レビュー
本書は、2万人を超える人を対象とした大規模な調査のデータを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明した一冊である。
近年、「働き方改革」が叫ばれている。実際、パソコンの強制シャットダウンなどの施策を実行している企業も増えたはずだ。一方で、現場の実情を顧みないトップダウンの人事施策ばかり実施され、現場に「やらされムード」が漂っている企業もまた多いのではないだろうか。
そもそもなぜ、日本には長時間労働の慣習があるのか。どんな歴史を経て、長時間労働が当たり前の社会になってしまったのか。残業はなぜなくならないのか。長時間労働に従事する人は、何を思っているのか。これらの問いは、個人の経験談だけではなく、データやエビデンスをもとに、その構造的な面から検討されなければならない。
そうした構造的な検討をしてくれるのが本書だ。本書を読めば、日本における残業のすべてがわかるだろう。もちろんあらゆるデータだけでなく、データをもとにした、具体的な残業削減施策も提示されている。「自社でも同じことが起こっていないか?」「この施策を自社に導入するとしたら?」という視点で読み進めていただければと思う。
どうすれば、会社も働く個人も希望を感じられる働き方を実現できるのか。少子高齢化が進む日本において、どうすれば働き手を確保できるのか。それを考えるきっかけとして、ぜひ本書を手に取ってほしい。
中原淳(なかはら じゅん)
立教大学経営学部教授。同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査、リーダーシップ研究所 副所長。1975年北海道生まれ。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・リーダーシップ開発について研究。
パーソル総合研究所(ぱーそるそうごうけんきゅうじょ)
パーソルグループの総合研究機関。2017年、中原淳とともに「希望の残業学」プロジェクトを立ち上げた。
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