レビュー
あなたの周囲にやる気が見られない人はいないだろうか。そういう人のやる気を高めたい場合、どのように関わっているだろうか。多くの場合、「がんばれ」と励ましたり、何かご褒美をあげたりしているだろう。しかし、こうした「エサ」では人のやる気は育たない。やる気を起こさせるのに必要なのは、教育心理学の知識と相手に対する熱意だ。
やる気やモチベーションに関しては、心理学の研究によって科学的に証明されたセオリーが多数存在する。番組「ホンマでっか!?TV」でお馴染みの心理学者、植木理恵氏が執筆した本書も、そのポイントを凝縮した一冊といえる。やる気を育てる原則に始まり、よく使われている「アメとムチ」が持つ人間への影響力、そしてやる気を育てるメソッドがわかりやすく解説されている。
内発的モチベーションに訴えかけるためのカギは、「期待と価値」の教育だ。中でも価値は「好奇心と貢献感」によってつくられるという。内発的モチベーションを高める具体的な方法は、普段の会話ですぐに取り入れられるものばかりだ。これらを身につければ相手のやる気を育てられ、自分自身の生き方を変えられる。
もしあなたがリーダーの立場、または子どもがいる立場なら、部下や子どもに対してアメとムチを使っていないか、よく考えてほしい。あなたの振る舞いが、相手を無気力人間に育てていないか、と。今こそ新しい「人の育て方」に目を向けるべきときだ。