仏像は大きく「如来」「菩薩」「明王」「天部」の4種類に分類されます。それぞれの特徴や歴史的背景を知り、日本文化への理解をさらに深めましょう。
「如来」と「菩薩」の特徴と変遷
「日本書紀」では、6世紀半ばに朝鮮国家の「百済(くだら)」の聖明王から欽明天皇当てに、仏典や仏具などとともに仏像が送られたと記されており、一般的にこれが日本の仏教文化の始まりといわれています。
仏教が浸透し始めた飛鳥時代には「釈迦如来」「阿弥陀如来」「薬師如来」など、「如来」と呼ばれる仏像が盛んに作られました。如来とは悟りを開いた釈迦の呼び名で、仏様の中で最も地位が高い存在です。如来像の多くは、着衣以外の装飾品を身につけておらず、螺髪(らほつ)という丸い粒が均等に並んだ髪型が特徴で、盛り上がった「肉髻(にくけい)」と呼ばれる頭頂部は仏の深い知恵を表現しています。
飛鳥時代には、如来像のほかに「弥勒菩薩」「観音菩薩」などの「菩薩」と呼ばれる仏像も多く作られました。菩薩は如来の次にランクが高い存在で、修行中の釈迦をモデルにしています。質素な外見の如来とは違い、中性的な身体つきと華やかな装飾品を身にまとった姿が特徴的です。
「天部」と「明王」の特徴と変遷
奈良時代になると、古代インドの文化から伝わってきた神々をモチーフにした「天部像」が作られるようになります。「四天王」「八部衆」「十二神将」などの仏像が代表的です。天部とは仏教を守る守護神で、雷や風などの自然現象を神聖化したものも含まれています。
平安時代になると、古代インドの「ヒンドゥー教」の教えを取り込んだ「明王像」が作られます。代表的な仏像は「不動明王」「愛染明王」「孔雀明王」です。明王は如来の化身で、煩悩に惑う人々を厳しく導くために恐ろしい形相をしており、手には武器や岩などを持っています。