自然遊びで子どもに身につく7つのこと
自然への愛着がわく
子ども時代からキャンプやハイキングを通じて自然の美しさや厳しさに触れることで、子どもたちのなかに『自分も自然の一部である』という意識が生まれ、自然への興味や愛着が育まれていきます。「遠くのキャンプ場に出かけるのもいいけれど、季節を変えながら近場の自然に何度も出かけるのがおすすめです。そうすることで、四季の移り変わりを感じられるし、自分の暮らす町と自然が地続きにあるということを実感できるはず」
情緒が育まれる
自然のなかでさまざまなものと出会い、心が揺れ動くことで、感性や情緒が育まれます。「雨上がりのクモの巣をきれいだと感じたり、ギザギザの葉っぱの手触りが心地よかったり……。美しいと思えるものや、好きだと感じるものとの出会いがたくさんあることが、自然に身を置くことで味わえる楽しさ。写真や映像で見るのではなく、リアルな自然の色や匂い、温度を知ることで、複雑な世界への興味や理解も高まると思います」
快適さと不快さのモノサシをつくる
暑がりだったり、寒がりだったり、猫舌だったり。なにを快適と感じるかは、人それぞれ。複雑に変化し、ときに不快な状況にもなる自然に身を置くことで、自分なりの快・不快の基準を身につけられることも、自然体験のもつ大きな意義。「自分にとっての快・不快の基準がわかれば、寒いときに服を着たり、熱い飲み物を冷ましたりと、自分にとって快適な環境を作れるようになる。これは、生きていくうえで大事なことです」
だれかの役に立つ喜びを実感する
テントを立てたり、ごはんを作ったり、薪を拾ったり、みんなで山を歩いたり……。キャンプや山歩きなどの自然遊びには、他人と力を合わせて行なう共同作業がたくさん。こうした経験は、子どもたちに「人の役に立つ」ことのよろこびを教えてくれます。「家族や友だちのために自分ができる役割が増えたという手ごたえは、子どもたちの自信や自尊心を育むことにもつながります。ぜひ、子どもたちにたくさんの役割を与えてください」
家族の共有体験が増える
キャンプや山歩きなどの自然体験は、家族の共有体験を増やし、家族としてのつながりを強くする絶好の機会となります。「雨が降ってきたり、気温が下がったり。家にいるときとは違って、自然のなかでは親にもコントロールできないような状況に直面することがよくあります。苦労や疲労も含めた自然体験を共有することで、おたがいの理解が深まり、家族としてのつながりも強くなってゆくのだと思います」
体のバランス感覚が養われる
キャンプ場や山道には、都会の舗装路にはない自然の凸凹が。そんな道を歩くことは、子どもたちの足腰を鍛え、バランス感覚を養うことにもつながっていきます。「山歩きのワークショップなどを行なうと、不安定な道を歩けない子どもって、案外多いんです。自然のなかで凸凹道に慣れると、バランス感覚が養われるだけでなく、手を使って体重を支えたり、注意深く道を観察したりする能力も身につきます」
防災力がおのずと身につく
地震や台風といった災害時に、避難所生活を強いられた場合などに「寝袋で寝たことがある」、「焚き火をつくれる」、「お湯を沸かせる」、「衣服を脱ぎ着して快適な状態を保つ」、「暗い場所でも落ち着いて行動する」、といったキャンプ場での経験が役に立ちます。「自然遊びのなかで身につけた経験やテクニックは、大きな財産。災害時には、身体的・心理的に子どもたちを助けてくれるはず。もちろん、キャンプ道具も役立ちます」
教えてもらいました!
外遊びtete主宰
栗田朋恵さん
登山ガイド。親子の自然体験ワークショップ「外遊びtete」を主催。2021年4月に長野県小谷村に移住し、「白馬の里ユースホステル」を拠点にサマーキャンプなども行なう。