焚き火マイスターに教えてもらう失敗しない焚き火のイロハ
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【教えてくれた人】
たき火ヴィレッジ〈いの〉/猪野正哉さん
薪割り、火起こしなどが体験できるアウトドアスペースを管理。焚き火を通じて自然や火の魅力と怖さの両面を伝えている。キャンプはもちろん登山も趣味で、幅広くアウトドアに親しむ。
薪と着火剤があれば大丈夫?
基本的に、薪と着火剤があれば火は起こせます。ですが、焚き火の世話をする際にはグローブや火バサミといった防護のための道具が必要です。なお、キャンプ場によっては直火禁止のところもあります。その場合は焚き火台を使うようにしましょう。焚き火台はレンタル可能な施設もあるので、直火の可否も含めて事前に確認を。
まず用意すべき道具はコレ
(1)斧・ナイフ
斧(またはナタ)は薪を細かくしたいとき、ナイフは枝の皮をむくときなどに重宝します。
(2)火バサミ
主に火に薪を投入したり、燃えている薪をずらしたりするときに使います。長めのものが安心です。
(3)グローブ
薪割りをしたり、火に薪を投入したりするときに着用します。熱に強い革製が◎。
(4)ライター・マッチ
着火の際の必需品。愛煙家でないと忘れがちなので注意しましょう。
(5)着火剤・焚き付け
着火剤はジェル状のものや小分けできるものなどが主流です。新聞紙や牛乳パックでも代用できます。
(6)ガストーチ
これを使えば火起こしは簡単です。なかなか着火しないときの最終兵器に。
火起こしの手順は「細い薪から太い薪へ」
小枝や細い薪から燃やし、徐々に薪を太くしていくのが火起こしの基本的な流れです。太い薪しかない場合は斧やナタを使って細かくしておきます。キャンプ場の清掃状況によっては焚き付けや薪に使えそうな枝が落ちていることもあるので、それらを探して使うのもひとつの手です。
基本の火の起こし方
(1)必要な道具を揃えて場所を決める
まずは焚き火で使う道具一式を揃えます。火への影響を考え、風向きに注意して場所を決めましょう。
(2)火起こし用の細い枝を準備する
火起こしで使う枝を用意。外側が湿っていても中は乾いているので、ナイフで皮をむくのがよいでしょう。
(3)大きな薪を斧で割る
市販の薪は太めのものが多いです。焚き付けで使う分などは斧で割って細かくしておきましょう。
(4)割った薪を太さ別に揃える
枯れた杉の葉、枝、細い薪、太めの薪というように、燃やす順に分けておくのが◎。
(5)焚き付けの上に細い枝を置く
焚き付け(写真は杉の葉)を一番下に敷き、その上に細い枝や薪を放射状に並べます。
(6)隙間を作りつつ中太の薪を重ねる
中程度の太さの薪を重ねます。空気が通る隙間を確保するために、薪は重ねすぎないこと。
(7)焚き付けに下から火をつける
下に敷いた焚き付けに点火します。火は上昇する性質があるため、下から上へと次第に広がっていきます。
(8)火の勢いが出てきたら太めの薪を入れる
細い薪に火がついたら太めの薪を投入。そのつど火の勢いが上がるのを待ち、一度に大量に入れないようにしましょう。
焚き火の薪は濡らさず、なるべく乾いた状態に
トラブルなく焚き火を楽しむために、まず気をつけたいのは薪を濡らさないことです。薪が濡れていると燃えにくいばかりか、火の粉が飛んでウエアに穴があいてしまったり、ヤケドしたりする可能性もあります。雨上がりなどで湿気が残る地面に薪を置く場合はなにかを敷いたり、薪を包めるバッグなどがある場合は木に掛けたりして、濡らさないように注意が必要です。また、市販されている薪でも完全には乾いていないこともあります。その場合は焚き火台の周りに置いて、できるだけ乾かしてから使うようにしましょう。
落ち葉を焚き付けにするのはNG
乾いた葉は燃えやすいので、つい焚き付けに使いたくなりますが、これはNGです!風で吹き飛ばされて火事の原因になる恐れもあるので、くれぐれもご注意を。
自然のなかでのんびり火と向かい合うひとときは、キャンプをよりいっそう思い出深いものにしてくれます。火起こしは基本さえ覚えてしまえば、それほど難しいものではないので、あとは実践あるのみ。火起こしの経験を積んで、アウトドアスキルを高めましょう!