親子キャンプをしてみたいけれど、虫が嫌い、天気の変化が心配など、さまざまな不安や疑問のために一歩が踏み出せないという方も多いでしょう。そこで今回は、はじめての親子キャンプを楽しむ方法をQ&Aでご紹介します!

教えてくれたのは…

長谷部雅一さん

長谷部雅一さん
アウトドアプロデューサー。イベント主催などを行なう「ビーコン」代表取締役。インタープリテーションを中心にファーストエイド講習やモノ作り、イラスト制作などマルチに活躍。

パパ・ママのお悩み解決講座

Q1. キャンプ場で子どもに何をさせたらいいのかわかりません。

「何かをさせる」ではなく、子どもがやりたいことをやるのが基本。何をしたいのかは、子どもに聞いてみましょう。未就学児の子どもでうまく言葉にできなくても、外に出れば必ずやりたいことがあるはずです。

もし、自然に不慣れで何をしていいかわからず戸惑っていたら、まずはキャンプ場をいっしょに散策してみるのがいいでしょう。そうすると、ほかのファミリーが遊んでいるようすも目にし、木に登りたい、虫を捕まえたいなど、必ずやりたいことが見つかります。

凝った遊び道具を用意するよりも、意外と手ぶらのほうが子どもは飽きずに遊んでいますよ。

Q2. キャンプに行く前の心の準備として、考えておいたほうがいいことはありますか?

最近では自然体験をとおして、非認知能力が身につくということが広く知られるようになりましたが、だからといって難しく考える必要はありません。強いて言うなら、子どもの欲求を満たすことを意識してください。

現代の日常生活では、大声を出したり、木の棒をふり回したりすると、すぐに注意されますよね。子どもの欲求が日常では満たしにくい環境にあるんです。

キャンプ場では、周りに迷惑がかからないように配慮しつつ、子どもができるだけ自由にすごせるようにすることが大切。子どもの欲求を満たす大切な時間だと理解してあげてください。

Q3. キャンプ場では子どもがケガをするのではないかなど、漠然とした不安があります。

漠然とした不安は、どこでどんなケガをする可能性があるのかを、親も体験して知ることで解消されるはず。そのためにはいっしょに遊ぶのがいちばん。遠くから見守るのではなく、いっしょに遊んでいれば、ケガをしてもすぐに対応できます。

また、水辺や岩場などを除き、整備された高規格なキャンプ場では、危険度はさほど高くないと考えていいでしょう。あまり神経質にならずに楽しんで!

Q4. 暑さや寒さ、急な雨など、天気の変化や気温差が心配です。

キャンプ場がある場所は標高が高い場合も多いので、防寒着はマストです。日中は半袖・短パン・サンダルですごしていたのに、夜になると上下ダウンを着てちょうどよいなんてことも。やや大げさなくらいに防寒対策をしておきましょう。

また、急な雨に備えて防水ジャケットや、水遊びで濡れた場合のために着替えも多めに持っていくと安心です。「暑い、寒い、濡れる」を避けられるように準備を。

Q5. キャンプを始めるのに、道具をどこまでそろえたらいいのかわかりません。

最初から道具をそろえようとせずに、まずは道具が少なくてすむコテージ泊がおすすめです。キャンプ場に行って周りを見ると、「あれがあると便利だな」「これは保管に場所をとるからレンタルでいいな」など、自分たちにとって必要な道具がわかってきます。

周りのファミリーが便利そうな道具を使っていたら、どこで購入できるのかたずねるのもアリ。ようすを見ながらゆっくりそろえていきましょう。

Q6. 虫嫌いなママ。克服する方法はありますか?

虫嫌いを克服することは、正直難しいです。虫よけを使ったり、夜はライトを自分から少し離れた場所に設置したりして、なるべく虫が近くにこないよう工夫を。

注意してほしいのが、子どもが虫に興味をもっているのに「気持ち悪い!」と、「虫=嫌なもの」と知らず知らずのうちに刷り込んでしまうこと。せっかくの子どもの好奇心の芽を摘んでしまいます。「こっちには持ってこないでね」とやんわり遠ざけましょう。

Q7. 家族でキャンプを始めたいのに、パパがあまり乗り気ではありません。どうすればいっしょに楽しめるでしょうか?

夫婦のどちらかが乗り気ではない場合、嫌な理由を具体的に優しく聞いてください。乗り気でないと言っても、BBQの準備が嫌、ずっと働かされる気がして嫌、など理由はさまざま。

理由がわかれば、準備と片付けが大変なBBQはやらないとか、テントの設営をしてくれるキャンプ場に泊まるなど、解決策が見えてきます。また、「帰りにアウトレットに寄る」など、ご褒美案を受け入れるのも手です。

Q8. 野外活動が子どもの教育によいと言われていますが、未経験のため子どもに教えたり、いっしょに楽しんだりする自信がありません。

野外活動は未経験でもまったく問題ありません。子どもといっしょにイチから学んでいく姿勢をもっていれば大丈夫です。教育のためにと難しく考えるのではなく、意図はもたずにとにかくおなじ目線で楽しむこと、親子ですごす時間を大切にすることを心がけましょう。

子どもが興味をもったことに対して、大人の知恵を少し貸してあげてさらに興味が膨らむよう、あと押ししてあげるだけでいいと思います。

自分がいかに楽できるかを考える

大切なのは親子でいっしょにすごすこと

自然のなかに咲くキンロバイ

キャンプデビューしたいけど、不安も多くなかなか行動に移せない……、そんな方も多いのでは。アウトドアプロデューサーの長谷部さんは、「道具を完璧にそろえようとしたり、いろいろ考えすぎたりして行動に移せないのではもったいない。とにかくまずはキャンプ場に行ってみましょう!」と話します。

「最初は、もっとも手軽に自然のなかに泊まれるコテージ泊がおすすめです。空調や寝具なども備わっていることが多いので道具の用意も最小限で、天候やトイレなどの不安も少なくてすみます。何度かコテージを利用しているうちに、『次はテントで寝てみたい』など、自分たちがやりたいことに合わせて道具をそろえていくほうが、失敗も少ないです」

さらに長谷部さんは、無理をしてBBQや宿泊をする必要もないと話します。「キャンプに正解はありません。大切なのは、自然のなかで親子がのんびりいっしょの時間をすごすこと。計画を詰め込みすぎて予定通りにいかなくなると、子どもに対してイライラがたまってしまいます。これでは本末転倒」

「どれだけ自分が楽できるかを優先的に考えることが、家族キャンプを成功させるカギとなります。お昼は作らずにお湯だけ沸かしてカップラーメン、テント泊に自信がなければコテージに、2日目はなるべく早めにキャンプ場をあとにするなど、うまく手抜きして家族みんなが楽しければOKとしましょう。SNSのおしゃれなキャンプ写真と比較する必要はありません」

また、キャンプ場では子どもの感情を優先してほしいと長谷部さん。「つい自然を通じて何かを学ばせたいと考えがちですが、ただ遊ばせてあげるだけで充分な学びがあります。普段おうちの中で『あれダメ、これダメ』と我慢させている欲求を、自然のなかで思い切り発散させてあげましょう」

写真◎後藤武久
文◎古川晶子

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