キャンプのプロに聞く!快適なテントサイトのレイアウト術〈後編〉ファミリーの場合
大人ふたり+子どもふたりのファミリーなら、ペアの場合とほぼおなじ
3人以上の子連れファミリーや、2家族のグループのテントサイトをレイアウトする場合も、中編でお伝えした「なるべく動かずに道具を扱える」「役割分担をする」「動線を確保する」というのが基本になります。
キャンプのプロに聞く!快適なテントサイトのレイアウト術〈前編〉基本の考え方
キャンプのプロに聞く!快適なテントサイトのレイアウト術〈中編〉ソロ・ペアの場合
「大人ふたり、子どもふたりという4人家族の場合だったら、子どもは基本的にそれぞれの横に座っているだけになると思うので、ぺアのレイアウトとそれほど変えなくてもいいかもしれません。つまり役割分担については、大人ふたり分を考えればいい。たとえばクーラーBOXに近いところにお父さんが座ってそのとなりに子ども、シェルフに近いところにお母さんが座ってそのとなりに子ども、のような感じですよね」
子どもがある程度大きくなったら、役割の一部を任せるというのもいいでしょう。また焚き火台は、タープなどに火が燃え移らない安全な場所に設置することがポイント。薪やトングなど焚き火に必要なものは、ランタンスタンドなど照明のすぐ近くに固めておくと、日が暮れても慌てずに火おこしの作業ができます。
ファミリーに大人気の2ルームテントではI字型がおすすめ
とくにファミリーキャンプにおいては、寝る場所とリビングを分けられて雨天時でも使える2ルームタイプのテントが人気です。しかし、タープの下にリビングを作る場合よりもスペースが限られてしまうという側面も。そこで小杉さんが提案するのが、テーブルなどをI字型にセッティングするレイアウトです。
「2ルームのときは、なるべく道具は真ん中に固めて置くのがよいと思います。あとは、イスの後方には道具を置かない。こうすることで、テントとリビング、リビングと外の行き来を妨げないレイアウトになります」
限られた空間では、なるべくデッドスペースを作らずにレイアウトしたいところ。小杉さんは、寝室のドアパネルを全開にして、クーラーBOXを寝室に入れるという手もあると教えてくれました。
「テントはだいたいがドームか三角のフォルムをしていて、真四角はほぼないですよね。どこかで頭がテントに当たってくるので、イスをロータイプにすれば頭の位置が下がって空間を広く使えるようになります。そうすることで、動線確保もすごくスムーズになってきます」
つまり空間を広く使うためのレイアウト術は、突き詰めると道具選びから始まっているわけです。小杉さんの考え方をいろいろと紹介してきましたが、複雑に考える必要はありません。なによりキャンプ場でゆったりすごすことを最優先に据えながら、自分にとって、自分たちにとって快適なレイアウトを試してみてください。
プロフィール
小杉 敬さん
ゼインアーツ代表取締役社長。新潟県出身。新潟県内に本社を構えるアウトドアメーカーに就職し、30年以上キャンプギアのデザインに携わる。2018年に長野県松本市でキャンプギアブランド「ZANE ARTS」を立ち上げ、機能と藝術の融合をコンセプトに、数々の革新的なキャンプギアを生み出し続けている。
文◎松元麻希
イラスト◎大西土夢