ママが子ども相手に大忙しのときなど、ひとりでもテントやタープを立てられる設営術は身に付けておきたいもの。数えきれないほどのテントとタープを設営してきたキャンプの達人・牛田浩一さんが、設営術の極意を伝授します!

ロッジ型

ロッジ型のテント

90年代ごろまで主流だったロッジ型。おもにスチール製のポールで幕と屋根の各辺を支えるので、全体重量が重くなりがちですが、山小屋風のレトロな見た目が支持を得て、人気が再燃しています!自立型なので、ひとりでも設営しやすいのも魅力です。

POINT1:ライナーシートが結露を軽減

フライを被せる前に、屋根のポールにライナーシートを張りましょう。このシートを張ることで結露を大幅に軽減することができ、幕体が濡れにくくなります。

ライナーシートを張っているようす

POINT2:ポールの連結部の下を折れば低い状態で設営可能

同モデルの場合、横側の柱となるポールの節は3つ。「一番下の節を曲げた状態のまま設営すれば、背の低い人もフライを被せるなどの作業がしやすいです」。

ポールの連結部の下を折り、フライシートを被せているようす

POINT3:オプションのインナーテントで就寝スペースが誕生

外側の幕体のみであればリビング使いが主になりますが、インナーテントを吊るせば就寝スペースが誕生します。シェルターから2ルームテントとして使うことが可能です。

インナーテントを吊るしているようす

POINT4:ガイラインを張り横風からの強度をプラスする

「フライ横側の面積が広いので、四隅にガイラインを張り、横風への強度をプラスしてください」。ガイラインを余分に持参すると強風時に役立ちます。

ガイラインを張っているようす

設営の手順

①各ポールを組み立てるおおよその位置に置く

平らな場所を探し、組み立てる予定の箇所にフレームをぽんぽん置きます。屋根の長辺ポール3本のどれをどの位置に置くかわかりやすいよう、色分けしているモデルもあります。

組み立てる予定の箇所にフレームを置いているようす

②屋根のポールから連結

まずは屋根のポールを各ジョイントに、しっかりと差し込んでいきます。続いて柱となるポールを、一番下の節は降り曲がったまま、屋根のジョイントに差し込みます。

ポールを各ジョイントに差し込んでいるようす

③ライナーシートを張る

結露防止のライナーシートを張る順番は、まず屋根の中央からS字フックにかけていきます。そのあとに両サイドを留めていくと、取り付けやすいです。

ライナーシートをS字フックにかけているようす

④フライを片方の角に掛け、中央⇒もう一方の角へ

ひとりでフライをかける際は片側をいったんズリ落ちないところまで覆い被せ、次に中央、もう一方の側面へ。風上に向かい、風をはらませるようにするとかけやすいです。

※ 強風時は危険なので複数人で幕掛けを。

フライシートをかけているようす

⑤ひさしのポールを差し込む

ひさしのあるモデルは、ひさし用の短いポールを差し込み、面ファスナーで固定。これをすることで、横殴りの雨も中へ吹き込みにくくなります。

テントにポールを差し込むようす

⑥曲げていたポールの連結部をはめて立ち上げる

柱のポールの下の節を、片方の長辺から順に立ち上げます。フライの縫い目と合うよう各ポールの位置を調整したら、フライの裾のグロメットに各柱のポールを固定します。

ポールの連結部をはめているようす

⑦ガイラインを張り、キャノピーを立ち上げる

四隅と長辺中央の裾止めテープをペグダウンしたら、軒のループからガイラインを張ります。側面を開けたい人はポールとガイラインで立ち上げます。

ガイラインを張り、キャノピーを立ち上げているようす

⑧幕内にインナーテントを吊り下げる

寝室用の、インナーテントを吊るします。天井の連結部は位置が高いので、手順③のライナーをつけるタイミングにやっておくと、背の低い人でも取り付けやすいです。

インナーテントを吊りさげているようす

⑨グロメットでシェルターとインナーテントを接続

最後にインナーテントのグロメットに柱用ポールのピンを差して完成です。インナーのグロメットのあとにフライのグロメットを付けて絞ればインナーが外れる心配はありません。

インナーテントのグロメットにポールのピンを差しているようす

スムーズなテント撤収術

説明書に撤収の手順を書いているテントは少なく、撤収にこそ経験の差が出るもの。より小さく、きれいに畳むことができれば収納袋に仕舞うのも、次回出して設営するときも楽になります。ポイントは撤収日の朝の時点で早めに乾かし、収納袋の幅より少し狭い幅まで折りたたんでから丸めること。小さく畳んだら、最後に収納袋を逆さにし、幕体の方へ被せて収納します。

インナーシートを裏返しているようす

インナーテントは結露や地面の湿気などで、ボトム裏側が濡れることもしばしば。朝ごはんの間などで先に裏返して乾かしておくのがおすすめです。

インナーテントを畳んでいるようす

小さく畳むには、両端を真ん中に折り合わせるよう、折り目をなるべく重ねないのがコツ。収納袋をそばに置くと収納のサイズ感をつかめます。

膝で体重をかけながらテントを折り畳んでいるようす

硬めの生地のテントは膝で体重をかけながら折り畳みます。空気の逃げ口を作るよう、生地の閉じていない側に丸めていくとコンパクトに収納可能です。

教えてくれたのは

牛田浩一さん

牛田浩一さん

幼いころからアウトドアに親しみ、アウトドア・キャンプ用品の輸入販売会社を経て、アウトドアのなんでも屋として独立。あらゆるギア&アクティビティを知り尽くす業界の重鎮的存在。

文◎鈴木健太 
写真◎宮田幸司

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