キャンプでおいしいコーヒーが飲みたい!プロに教わる3つの抽出方法
キャンプでおいしいコーヒーが飲みたい!
おいしいコーヒーになるかどうかは、「もとの豆の品質が8割、焙煎が2割」といわれています。自分で淹れるコーヒーがイマイチだと感じているなら、まずはコーヒー豆を変えてみましょう。日本国内の専門店なら品質が良く、ていねいに焙煎された豆が手に入ります。
フレンチプレスで抽出する場合は、とくに豆の良し悪しがダイレクトに味に繋がるので、ケチらずにおいしい豆を用意したいところ。専門店で自分の好みや抽出手段を伝え、おすすめしてもらう方法がベストです。
これだけは押さえよう!
どの煎り具合の豆がおすすめ?
ベストな焙煎度合いは豆の銘柄によって変わるので、店では煎り具合よりも抽出方法と自分の味の好みを伝えてアドバイスをもらいましょう。一般的にストレートで飲みたいなら浅煎り〜中煎り、ミルクを入れて楽しみたいなら中深煎り〜深煎りが合います。
豆のままと粉の状態どちらが良い?
おいしく飲むには豆の粉粒が均一になっていることが絶対条件。業務用グラインダーで挽いてもらったものは挽きムラが少ないので、5日前後で飲みきれるようなら挽いてもらったほうがラクでおいしいです。保管は空気が入らないように密閉して冷暗所へ。
スペシャルティコーヒーってなに?
生産から精製、流通までの情報が明確で、1杯のコーヒーとして提供されるまでしっかりとした品質管理がされているコーヒーのこと。さらに最高品質と認定されたコーヒーには「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」の称号が与えられます。
シングルオリジンコーヒーってなに?
収穫エリアや農園、精選・精製方法など、細かな情報までを追跡(トレーサビリティ)できる豆、かつほかの豆とブレンドされていない豆のこと。コロンビア、ブラジル、ケニア、エチオピアといった生産国内でも地域や生産者の違いによって銘柄が変わります。
プロが伝授!「キャンプにおすすめの3つのコーヒー抽出方法」
教えてくれたのは
ウッドベリーコーヒーロースターズ 木原武蔵さん
もっともポピュラーで淹れる工程が楽しいペーパードリップ、大人数分を作るのに便利なフレンチプレス、水を入れておいておくだけなのに抜群においしい水出しコーヒー。シーンに合わせて飲み分けをしましょう。
目的によって挽き目が変わる
ドリップとフレンチプレスはグラニュー糖くらいの細かさ(左)。水出しコーヒー用はさらに気持ち細かめに(右)。挽き目が細かいほうが良い成分もしっかり抽出できるのでおいしい。
抽出に必要な道具
ドリッパー&サーバー
普段家で使っているものが手軽。サーバーも好みのもので構いません。ペーパーいらずのドリッパーもあります。
フレンチプレス
フタにプランジャーという器具が付いているのが特徴。ドリップよりもオイル分多めの仕上がりになります。
ボトル
多めに抽出したコーヒーをストックしておけるよう保温力があるモデルがおすすめです。水出しコーヒー用にも。
はかり
コーヒー粉、湯量を計るために使います。写真はハリオのタイマー付きのモデル。タイマーはスマホでもOK。
ドリップポット
湯を注ぐための道具。キャンプ用ケトルでも家にあるものでもOK。ドリップするならノズル細めが便利です。
ミル
ハンドルが一定の速度でスムーズに回せて、安定感があるものを選びましょう。粉の状態で持っていく場合は不要です。
抽出方法その1. すっきりとした味わいが特徴「ドリップコーヒー」
ドリップコーヒーは、もっともポピュラーな抽出方法です。粉も湯もきっちり計量するのがおいしさのコツ。今回はグアテマラ ペニャ ロハという豆を使用して手順を解説します。この豆は、香りも風味も丸くやわらかで、バランスが良くすっきりとした味わい。まろやかな甘味のなかにほんのり酸味を感じます。
準備
ペーパーのつなぎ目がドリッパーから浮かないようにしっかり折りたたみます。ドリッパーにセットしたら湯で全体をリンス(洗う)します。
1. 粉を入れて平らにならす
今回の1人分の粉量は13.5g。人数分の粉を入れたらドリッパーのサイドを軽く叩いて中身を平らにならします。
2. ドリッパーに湯を注ぐ
沸騰した湯を火から下して1分待ち、90度くらいまで温度を下げます。1人分200mlの湯を5回に分けて注ぎましょう。
3. 30秒間蒸らす
ドリッパーをはかりに乗せて、1回目の40mlの湯を注いだらそのまま30秒間待ちます(2人分なら80ml)。
4. 3を計5回くり返す
湯を40ml注いで30秒待ちましょう。はかりの目盛りが200mlになるまで(5回)行ないます。
5. 湯が落ちきるまで待つ
昔はえぐみが出るという理由で湯が落ちきる前にドリッパーを外すといわれていましたが、いまは気にしなくてOK。
6. できあがり!
透明感のあるすっきりとした味わいのコーヒーが抽出できました。良い豆で淹れたコーヒーは冷めてもおいしいものです。
抽出方法その2. 豆の良さがそのまま抽出される「フレンチプレス」
フレンチプレスは、コーヒーの旨味成分といわれるオイルも抽出されるため、パンチの効いた1杯になる抽出方法です。今回はブルンジ キビンゴという豆を使用して手順を解説します。この豆は苦味は控えめで、柑橘系の香りとフレーバーが特徴。冷めてくると甘味が増すように感じられます。COE受賞歴も。
1. 抽出器具に粉を入れる
容器容量が350mlなので、コーヒー粉18gに対して湯量は300mlで抽出します。きっちり18gを計って入れましょう。
2. 湯を注ぎ入れる
沸騰したてでもOK。300mlになるまで湯を注ぎ入れます。器具をはかりの上に置いて注ぐといいです。
3. 必要量まで一気に注ぐ
豆全体に湯が行き渡るよう、量にだけ気をつけて一気に注ぎます。はかりの数字が300mlになればOK。
4. フタをして蒸らす
フィルターは上げたまま、プランジャー(フタ)を静かに乗せて4分間待ちます。混ぜる必要はありません。
5. ゆっくりプレスする
4分経ったら容器をしっかり支えて、プランジャーを押し下げていきます。下がらなくなったら抽出完了。
6. 1分おいてから注ぐ
容器内に細かい粉が浮いているので、ザラリとした質感が苦手な人はさらに1分おいて、中身が落ち着くのを待つといいです。
抽出方法その3. ゴクゴク飲める朝向けのコーヒー「水出しコーヒー」
水出しコーヒーは、コーヒー粉と水を入れるだけでできあがるもっともキャンプにおすすめのコーヒーの抽出方法です。今回はライトノートブレンドという豆を使用して手順を解説します。この豆は、中煎りのシーズナルブレンド、ニカラグア・ロスピノス農園とグアテマラ・ペニャロハのブレンド。食事との相性も◎。
1. コーヒーパックに粉を入れる
豆と水の割合は1:10。コーヒーパック(出汁パックやティーバッグでも可)に細かめに挽いた豆を入れます。
2. 適量の水を注ぐ
容器に粉を入れたコーヒーパックを入れて水を注ぎます。キャンプ場で作る場合は保温機能があるボトルを活用しましょう。
3. ひと晩おいておく
6〜8時間おいておくだけでできあがり。好みでガムシロップやミルクを入れて楽しみましょう。
文◎小田巻美穂子
写真◎熊原美恵